小麦粉は、パン、ピザ、うどん、ラーメン、ケーキ、カステラなど、ありとあらゆる食品に使用されています。しかし小麦粉の種類は、その用途によって異なります。

小麦粉の分類

小麦粉を分類するには大きく分けて2つの方法があります。
ひとつは、タイプ(種類)による分類で、もうひとつはグレード(等級)によるものです。この2つの特性は、小麦粉の性質をあらわす上でもっとも重要なものです。どの製粉会社の業務用カタログにも、この2つの数値は大抵明記されています。

 

グレードによる分類

同じ小麦の胚乳部分でも、中心部は灰分が少なくなっています。また、中心部分の方が白く、またたんぱく質の量も少なくなる傾向があります。よって、主にこの中心部分からとれる上級粉は、灰分が低く、乳白色または淡黄色の冴えた色をしています。逆に、表皮近くからとれる下級粉は、たんぱく質も多くなり、色がくすんで茶褐色を帯びてきます。 大まかですが、灰分値が0.3~0.35%のものは特等粉、0.35~0.45%のものは1等粉、0.45~0.65%のものは2等粉、0.7~1.0%のものは3等粉、そして1.2~2.0%のものを末粉(すえこ)と分類しています。

灰分値 分類
0.3~0.35% 特等粉
0.35~0.45% 1等粉
0.45~0.65% 2等粉
0.7~1.0% 3等粉
1.2~2.0% 末粉

 

尚、原料小麦に対する小麦粉生産比率、つまり小麦に対して小麦粉がどれだけとれたか、その重量%を歩留り(ぶどまり)といいます。麺用1等粉の場合、歩留りは約60%前後になります。

 

タイプによる分類

これは、小麦粉に含まれるたんぱく質の量に応じて分類するもので、たんぱく質の多い順に「強力粉」、「準強力粉」、「中力粉」、「薄力粉」とよばれています。
1等粉の場合、目安としては、強力粉が11.5~12.5%、準強力粉が9~11.5%、中力粉が8~9%、薄力粉が6.5~8%となります。

タンパク質の量 分類
11.5~12.5% 強力粉
9~11.5% 準強力粉
8~9% 中力粉
6.5~8% 薄力粉

 

ここで注意してほしいのは、前にも説明したように、この性質の違いは、製粉方法によるものではなく、原料小麦の特性に依存するものです。つまり、硬質小麦からは強力粉、中間質小麦からは中力粉、そして軟質小麦からは薄力粉がつくられます。一般に強力粉はパン用、中力粉は麺用、そして薄力粉はお菓子やケーキに使用されます。

 

一般的な小麦粉の成分組織

一般的な小麦粉の成分組成、及び分類は次の表のようになります。みなさんの参考にしてください。

 

グルテン

小麦粉の代表的性質が、灰分とたんぱく質であることがわかりました。この2つの数値はもちろん、重要な性質には違いありませんが、これだけで小麦粉の性質が決定されるわけではありません。この2つは、小麦粉がもっているたくさんの性質の一部にしか過ぎません。例えば、小麦粉に含まれるたんぱく質はせいぜい10%前後にしか過ぎず、残りの大部分はでんぷん質です。そしてこの多くを占めるでんぷん質がうどんの性質に大きく影響します。たんぱく質はグルテン形成にかかわる重要な性質ですが、でんぷん質もうどんを作るうえにおいて、それに負けず劣らず大切なのです。でんぷんの性質が違うと、うどんにした場合、食感や味も異なるわけです。

ではなぜ灰分とたんぱく質だけが特別な性質として扱われるのでしょう?その理由は、小麦粉がパン文化を支えてきたからです。パンがうまく膨らむかどうか、またその色合いは、小麦粉のたんぱく含有量、そして灰分に大きく影響されるので、欧米人はこの二つを特に重要視したのです。日本は元来稲作文化が主流で、現在の製粉技術は欧米から輸入されたものです。そして、そのとき小麦粉の分析方法、また検査方法も一緒に入ってきたのが主な理由だと考えられます。ただ、現在ではでんぷん質の重要性も、だんだんと認識されるようになりました。小麦粉には、それ以外にも重要な特性がいくつかあり、それらをまとめると次のようになります。

小麦粉には80種類以上のたんぱく質が含まれていますが、その中で特に重要なのが、グルテニンとグリアジンです。グルテニンは抗張力が強く、ひっぱって伸ばすのに強い力が必要です。一方グリアジンは軟らかくべとべとしています。これがなぜ重要かというと、この2つのたんぱく質が水と一緒になって、小麦粉特有のグルテンというたんぱく質を作りだすからです。グルテンには弾力性と粘着性があり、この性質によって食パンは四角に膨らむことができ、また、冷えても縮まないでその形を保てるのです。建物にたとえると、グルテンが鉄筋、でんぷんがコンクリートの役目をしているわけです。また、うどんの独特のコシを与えるのも、このグルテンの役割です。
このグルテンという性質は、小麦粉特有のもので他の穀物にはありません。他のたんぱく質はあっても、グルテニンとグリアジン両方のたんぱく質を持っている穀物は、小麦以外にはないのです。実際、米やとうもろこしなどの穀粉で、パンを焼いても、ふっくらと膨らみません。また、そうめん、うどんをつくっても、プツンプツン切れてしまうし、弾力感もありません。つまり、このグルテンの働きがあるからこそ、小麦粉は自由自在に加工でき、用途が飛躍的に広がり、小麦は穀物の王様になったのです。

実際にグルテンとはどんなものか見てみましょう。

グルテンの採取方法

小麦粉のたんぱく質の中にはグリアジンが約33%、グルテニンが約14%含まれますが、その他の不溶性のたんぱく質とあわせて、約85%がグルテンを形成します。ただ、湿麩の約2/3は水なので、普通10gの中力粉からは、3g弱の湿麩がとれます。湿麩は重量%で表示するので、もし2.8gとれたら、湿麩は28%となります。現在は機械でたんぱく質を測定できますが、以前はそれ程簡単ではありませんでした。その場合、小麦粉に含まれるたんぱく質とこのグルテンの間に、おおよそ「グルテン=たんぱく質×3」という関係があるのを利用して、湿麩の1/3をたんぱく質の推定値として代用していました。

他の地方はどうかしりませんが、さぬきの製粉工場では、ウェット・グルテンをとるのに、もっぱらうどん鉢とへらを使用します。昔は、試験室とは名ばかりの小さな部屋の柱にはくぎが打ちつけてあり、そこにとれたグルテンを刺していました。すると重力によりだんだんと垂れてきますが、強力粉のグルテンは多くて弾力が強いので、あまり伸びず、逆に薄力粉のそれは、少ないのでだらんと伸びてしまいます。ぱっと見には、チューインガムを刺しているようにしか見えません。

また、稀にうどん屋さんから、うどんが切れると言われることがありました。うどん屋のご主人はそういう場合、大抵小麦粉に原因があると思っているようです。しかし、実際には小麦粉と塩水との捏ね方に問題がある場合もあります。うまく捏ねられていないので、水分にむらがあり、グルテン形成が十分にできていないのです。いくら口で説明してもなかなか納得してくれませんが、その場でその小麦粉を使って、グルテンをとってみると大抵の方は、納得されたようです。百聞は一見にしかず、です。今は誰も持ち歩きませんが、以前はこのうどん鉢とへらは、小麦粉営業マンの七つ道具のひとつでした。
このようにこのグルテンをとることは、小麦粉の性質をみるのには非常に有効な手段なので、うどん屋さんも、ご自分で使用している小麦粉のグルテンを比較してみることをお薦めします。ただ、このウェット・グルテンはとても簡単で便利ですが、捏ね方、でんぷんの洗い流し方、また水の絞り方などによって、個人差があるので、現在では、ぶれの少ないたんぱく量表示の方が、一般的になっています。

 

 

でんぷん質

これまで小麦粉の様々な特性をみてきましたが、まだでんぷんが残っています。でんぷんは小麦粉の中で70%以上含まれている、一番多い成分にもかかわらず、最近になるまであまり注目されませんでした。それ程含まれていながら、重要視されなかったこと自体、不思議といえば不思議です。たんぱく質のように生地形成に直接かかわることはありませんが、加工品の味とか、劣化に重要な影響を及ぼします。でんぷんという言葉はよく聞きますが、ここでどういうものか、簡単に復習しておきましょう。

でんぷんそのものは、ぶどう糖がつながってできた炭水化物で、一直線につながった分子量の小さいアミロース、そして枝分かれしてつながっている分子量の大きいアミロペクチンとによって構成されています。そしてアミロースの割合が低いほど、粘りがでてきて、またでんぷんの劣化が遅くなります。たとえば、普段私たちが食べているうるち米に含まれているアミロースは16~23%ですが、多くなるとインディカ米のように粘りがなくなり、スプーンを使わないと食べることのできないパサパサの米になります。逆に、アミロースがなくなってしまうともち米になります。

小麦の場合、通常アミロースの割合は27~29%ですが、中には低アミロースのもちもち感のでる品種もあります。またうどんの原料の一部として使用されるタピオカでんぷんは、アミロース比率が17%と低いので、これを入れるほどもちもち感がでる仕組みです。一般には、もち性でんぷんであるアミロペクチンの含有量の多い、いいかえると低アミロース小麦の方が、麺にした場合の食感に優れているといわれていますが、用途とか好みにもよるので一概には言えません。

またでんぷんの特徴のひとつとして、その粘化現象があります。でんぷん粒はある温度で水を吸収してふくらみ始めます。加熱し続けると、でんぷん粒は更に膨潤を続け、吸水することにより体積は数倍にふくらみます。そして膨潤が極限に達すると、粒の崩壊が始まり、分散してしまいます。つまり、膨らませすぎた風船が破裂するのと同じです。でんぷん粒は加熱することにより、吸水→膨潤→崩壊→分散の過程をたどり、この一連の動きがでんぷんの糊化現象といわれるものです(図参照)。このでんぷんの性質を測定する機械として、アミログラフという試験機が一般的に使用され、測定方法を簡単に説明すると、次のようになります。

この一連の粘度変化をグラフにしたのが次の図です。このとき縦軸に使用されている粘度の単位は、この機械を開発したドイツのブラベンダー社の名前をとって、B.U.(ブラベンダー・ユニット)が使用されます。というより、自分で作った機械だから、自分で決めたんですね。

最初に小麦粉65gと水450mlを加えて、攪拌した懸濁液を攪拌しながら徐々に温度を上げていきます。温度が60℃くらいになると、でんぷん粒が急激に膨張するので、溶液の粘度が増加し、ここが糊化開始点とよばれています。更に攪拌しながら加熱を続け、94.5℃まで上昇すると、今度はこの温度を保ったまま、攪拌を続けます。暫くすると、膨潤したでんぷん粒が崩壊するために、粘度の低下が始まります。つまり、今までねばねばだったものが、さらさらになるわけです。この現象をブレークダウンといいます。

この粘度変化のグラフは、それぞれのでんぷん特有のもので、小麦でんぷんの場合には大体このようなカーブを描きます。同じ小麦でんぷんの中でも、早く膨潤して、よく崩壊するものを軟質でんぷんといい、麺にした場合の食感がいいので、うどんにはこの軟質でんぷんが好まれます。 またピーク粘度とブレークダウン粘度との差をブレークダウン値といいますが、この値が大きいとうどんにした場合の粘弾性、なめらかさに優れているといわれています。ただ、同じ小麦から製粉された小麦粉でも粒度が小さい方が、最高粘度が高くなる傾向にあり、このあたりは損傷でんぷんとの兼ね合いもあり、ピーク粘度は大きければ大きいほどいいというものでもありません。結論としては、そこそこのピーク粘度があれば十分ということです。

ピーク粘度が400B.U.以上のものは、二次加工上問題ありませんが、300B.U.以下になると製造適性が極端に悪くなります。これは、もとの小麦が「低アミロ小麦」とよばれ正常な小麦でないことが原因です。低アミロ小麦となる一番の原因は、「穂発芽」と呼ばれる現象で、これは小麦が成熟して、収穫の直前に降雨が続いた場合、穂についたままで発芽してしまうことをいいます。穂発芽がおこると、α-アミラーゼとよばれる、でんぷん分解酵素の活性が高くなり、結果として最高粘度が著しく低下します。こうなると二次加工適性が極端に悪くなり、うどんにした場合もおいしくない、べとつく、ぼろぼろになる、または、ぱさつくといった弊害がおき、商品価値がなくなってしまいます。尚、この「低アミロ小麦」と先程でてきた「低アミロース」という言葉は似て非なるものですから混同しないように気をつけてください。

次の図は小麦と他の穀物に含まれるでんぷんの粘化曲線の比較です。これをみると小麦でんぷんは、他のでんぷんに比べると非常にゆるやかな粘度曲線を描くことがわかり、これが小麦でんぷんの特徴といえます。逆にタピオカでんぷんは糊化開始温度が低く、これは早く糊状になる、つまり調理時間が短くなることを意味します。最近はタピオカでんぷん入りのうどんも時々見かけますが、これからわかるように小麦粉だけの場合に比べてゆで時間が短縮され、作業効率があがるのが使用される理由のひとつです。
以上簡単に小麦粉の特性について説明しましたが、ここに紹介したのは、小麦粉の性質の一部で、これだけで小麦粉すべてが説明できるわけではありません。

 

 

色調

色は小麦粉にとって、重要な特性のひとつです。うどんでも、クリーム色のぴかぴかしたうどんは見るからに食欲をそそりますが、くすんだ色のうどんは、たとえおいしくても、なかなか食べようとは思いません。小麦粉の色は基本的には、淡いクリーム色ですが、小麦の種類、また等級に大きく影響されます。一般に、小麦自体の色をみてもわかるように、硬質小麦は赤色、軟質小麦は白色をしているので、同じ等級、つまり同じ灰分値の小麦粉なら、強力粉よりも薄力粉の方が白くなります。また種類が同じなら、当然灰分値が低い上級粉ほど、白くなり、下級粉になるとくすんだ、冴えない色になってきます。

しかし、これらの違いは小麦粉だけをみていてもよくわからないし、また同じ原料の小麦粉でも、粒度が小さい方が、光が乱反射して白っぽく見えます。こういった影響を取り除き、また一番簡単に小麦粉本来の色を見る方法がペッカテストとよばれる方法です。ガラスまたはプラスチックの板に、比較しようとする粉を並べて、その上からへらで、ぎゅっと押しつけます。つまり、小麦粉をガラス板とへらでしっかりとサンドイッチにして、薄くした状態で、ガラス板を静かに水につけてやります。すると、小麦粉の表面を水が覆って、乱反射の影響がなくなり、またうどん生地と同じように、加水した状態になるので、うどんにした場合の色がよくわかります。

ただ、これは少し練習が必要で、一度ではなかなかうまくいきません。最初のうちは、表面がざらついて色がよくわからないとか、また小麦粉がしっかりと締まっていないため、水につけた途端に小麦粉が水中にずれ落ち、がっくりすることがあります。逆に熟練の製粉技師はペッカテストをしただけで、その小麦粉が何を言いたいのかわかるとも言われています。正に名人伝の域です。
製粉したての小麦粉は淡いクリーム色、または淡黄色をしていますが、時間とともに徐々に白く変色します。これは空気に触れることによって、酸化するためで、これを小麦粉の自然漂白作用といいます。つまり、淡黄色は新鮮さの証でもあります。

色の見分け方

 

 

粒度

一般の小麦粉の粒度、つまり大きさは大体直径150ミクロン(1mm=1000ミクロン)以下です。同じ小麦粉でも、強力粉は粒度が大きく、薄力粉は小さく、そして中力粉はその中間となります。その理由は、強力粉の原料である硬質小麦は硬いので、砕いたときに粗くなりやすく、薄力粉の原料である軟質小麦は軟らかいので、細かくなりやすいからです。小麦粉の違いを区別することは簡単ではありませんが、手で触れてみると、強力粉はさらさらとした感触、そして薄力粉はしっとりとしているのがわかります。

この粒度については、後で詳しく述べますが、うどんをつくる場合にとっても重要です。つまり、あまり粒度を小さくしてしまうと、損傷(そんしょう)でんぷんが増えてしまうのです。損傷でんぷんとは、傷ついたでんぷんのことで、これが多くなりすぎると、うどんがべとついたり、おいしいうどんにならなかったり、また二次加工適性が低下する原因となります。ですから、製粉する上でこの粒度調整というのは、非常に重要です。

 

 

水分

小麦粉に含まれている水分は、14.0%~14.5%のものがほとんどです。また夏よりも、冬の方が0.3%~0.5%ほど高くなります。小麦粉の種類についていえば、強力粉の方が、薄力粉より0.5%くらい水分が高くなります。そして業務用の紙袋に入った小麦粉は、たとえ開封しなくても長期間保管しておくと乾燥して、水分が減ります。このあたりは頭で考えてもよくわかりません。小麦粉の水分は空気中の湿度よりも低いので、放置しておくと湿気るような気もしますが、実際は逆なのです。考え方としては、容器からだされた海苔がふやけるというよりも、雨降りの日にでも洗濯物が乾くというように理解すればいいのかもしれません。

 

 

吸水率

一定の硬さの生地にするために、加える水の量を、小麦粉の吸水率といいます。一般に強力粉の吸水率は、薄力粉のそれより大きくなりますが、その理由は、グルテンを形成するときには、吸水するからです。つまり、たんぱく質が多いほど、水も多く必要になります。また、損傷でんぷんの吸水率は健全でんぷんの数倍になります。そして古い小麦粉も乾燥して水分が低くなっているので、吸水率は大きくなります。

このように吸水率が大きくなる理由というのは、いくつか考えられるので、一概に良し悪しは判断できません。また、うどんの歩留まりが高くなるので、一見よさそうに思えますが、ゆでうどんの水分はどれもよく似ているので、結局のところそれほど差があるとも思えません。それより、原因が損傷でんぷんである場合には、損傷でんぷんに水を取られて、グルテン形成が十分にできなくなり、加工適性が低下します。そしてうどんがべとついたりする原因になり、おいしさにも影響するので注意が必要です。

 

 

熟成

製粉したての小麦粉は、活発に呼吸していて、酵素活性が強く、そのままでは二次加工適性がよくないと言われています。そこで、そのままの状態で暫く放置してやると、しだいに安定した状態になり加工しやすくなります。この時間的変化のことを小麦粉の熟成またはエージングといいます。熟成の期間については、いろいろ議論が分かれていて、実質上は必要ないといった意見から、3日で十分とか、長いものでは2週間は必要という意見もあります。ただ麺用に限っていえば、熟成についてはあまり考慮する必要がないというのが、私たちの経験上の考えです。これには次のような理由が考えられます。

①製粉したての小麦粉を出荷しても、それが実際に使用されるまでには最低2、3日はかかりその間に熟成が進む。

②少なくとも当社においては製粉したての小麦粉を出荷していても、これまで熟成不足による二次加工適性の低下は認められていない。

③製粉工程の近代化による熟成の促進。以前は製粉工程内での、小麦粉の運搬といえば、普通のコンベヤーが利用されていましたが、現在は空気搬送という方法が一般的になってきました。これは、空気の流れの中に小麦粉をのせて運搬する方法で、製粉工程中にも絶えず空気にさらされているので、この間にも熟成が促進されるという考え方です。

④製粉する小麦は収穫後、数ヶ月を経過していて、この間に小麦での熟成が進んでいるので、小麦粉での熟成はそんなに必要ない。

上記、最後の小麦での熟成については、確かに必要であると考えています。実は大分昔の話ですが、収穫して間もない内麦を製粉し、その小麦粉でそうめんを製造したところ、ぼろぼろと切れたことがありました。小麦での熟成不足のためにグルテン形成がうまくいかなかったのかもしれません。それ以来、内麦については必ず、数ヶ月の熟成期間をあけて、製粉することにしています。外麦に関しては、収穫後一定期間経過したものが輸入されるので、小麦段階での熟成不足を心配することはないと考えています。

 

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