うどんの生産量および一人当たりの消費量で日本一を誇る香川県。
ここでは、その讃岐うどんについてのいくつかのトピックをご紹介します。
一人当たりの消費量:讃岐の人は1年に何玉のうどんを食べているのでしょうか?
大阪書籍の中学の教科書に次のような記述があります。
“香川県の讃岐うどんといえば、麺類の好きな人ならだれでも知っているように、日本のうどんの代名詞といってよいほど有名です。実際、香川県は、うどんの生産量では日本で一、ニを争っており、また消費量においても、県民1人あたり年間188玉といいますから、全国平均の26玉を大きく引き離しています(1993年)。”
これは、次のように計算できます。さぬきで1993年に製造された生うどんが、8,717t(小麦粉換算、以下同じ)、ゆでうどんが24,465t、両方あわせて33,182tとなり、県内消費分は46.4%なので約15,400tとなります。一人前は約80gなので、これから、消費されたうどん玉は1億9,250万食となります。一方、香川県の人口が102.5万人ですから、これで割ると、1人あたり188玉になります。同様の計算を、日本全体でしてみると、26玉となり、香川県民は全国平均の7倍以上のうどんを食べていることになります。
ただ、これには乾麺の消費量が含まれていないこと、また、昨今のさぬきうどんブームで、消費が幾分のびていることを考慮すると、現在では1人あたり年200~250玉は食べていると推定されます。つまり、子供からお年寄りまで含めて、3日に2玉は食べていることになります。
直近では、かがわ農産物流通消費推進協議会が、2013年12月13~15日に約1000人を対象に行ったアンケートがあります(新着情報#431)。これによると1年間に食べるうどん玉は156玉(男性202玉、女性130玉)とかなり少なくなってます。ただこの場合は、調査対象者の平均年齢が高かったこと、また女性の比率が多かったことを考慮すると、平均的な消費量はそれほど変化ないと考えられます。
うどん店の総数:讃岐のうどん屋さんは何店あるのでしょうか?
1986年に「さぬきうどん研究会」なるうどん愛好家の団体が調べたところ、979軒ありました。人口約100万人の県なので、ざっと1000人に1軒の割合です。
では、いまは何軒あるのだろうと、当社の山本真由美が調査してみました。といっても、最新のタウンページでうどん屋の数を数えるだけです。まず業種分類で「うどん・そば店」に登録されているところを数えてみました。「うどん・そば店」となっていますが、さぬきではまずうどん屋と考えて間違いありません。次に「製麺業」に分類されているところは本来業務用専門なのですが、よく見てみるとうどんを食べることができるお店も含まれています。
で、そういう製麺所タイプのうどん屋を数えあげて、先程の「うどん・そば店」に登録されているものと合計すると852軒になり、これがうどん屋の数としては妥当なところかなと思います。ただ、これ以外にも「食堂」という分類があり、ここには358軒登録されていました。そしてこの中にもうどん屋らしきもの、またはうどんをメニューに加えている食堂もかなりあるので、うどんを食べることができるお店というと、もっと数は多くなります。
ところで、なぜうどん屋の数は979軒から852軒に減っているのか不思議に思う方もいるかも知れません。しかしそれ以前は、うどん屋の数は3000とも3500とも言われていました。当時は田舎の隅々にまで小さな食堂が点在していて、そこでうどんを食べることができたからです。つまり減った理由はうどん店の大規模化にあります。実際、最近は100席を越えるセルフの店がいくつもできています。このように考えると、お店の数は減っても、実際にお店で食べているうどんの数は多くなっているのです。
備考)直近のデータ@2012.1.31については新着情報#326をご覧ください。
うどん一杯のお値段:讃岐のうどんはどれくらいするのでしょうか?
さぬきのうどん屋さんには大きく分けると3つの種類があります。まず、一般店。注文するとうどんを持ってきてくれて、終ると片づけてくれる、一番よくあるタイプのうどん店です。うどん専門店とか観光客相手のきれいなうどん店もここに分類されます。
次はセルフ店。店内に入ると、順路に沿って自分で欲しいものを選んで、レジで支払いを済ませ、着席して食べます。終ると再び、自分で返却口まで持っていきます。
そして最後が製麺所タイプのお店です。ご存知のように、元々製麺所だったところが、お店の一角でうどんを食べさせるようになったのが始まりです。さぬきうどんがブレイクしたのはこの製麺所タイプのお店の貢献が大と言われています。往復1万円もかかる瀬戸大橋を惜しげもなく渡り、うどんツアーにやってくる人がたくさんいますが、お目当ては大抵この手のうどん屋さんです。
前置きが長くなりましたが、安くてうまいといわれるさぬきのうどんは、本当はいったいいくらなのか調べてみました。312店のうどん店を抽出し、公正を期すためにかけうどんの価格を比較しました。かけうどんはどの店にも当然あるものと思っていましたが、なんと、ないところが17店舗もあり、295店舗の平均となりました。最初は170~180円位かなと思いましたが、答は意外に高く平均216円でした。一般には製麺所タイプ⇒セルフ⇒一般店の順に高くなりますが、結果としては一般店の価格が平均価格を押し上げたように思えます。
詳しくみてみましょう。一番安いのはIうどん店でなんと65円、ぶっちぎりの1位でした。65円なんて玉売り価格とほとんど同じで、こんなんでやっていけるのか他人事ながら心配になります。おばちゃん一人、毎日数量限定だからやれるのでしょう。但し、ここはかけうどんではなく、生醤油だけなので厳密に言うと今回の対象からは外れ、まぼろしの1位ということになります。次に安いのは有名処Y店の90円で実質的にはこれがかけうどんの最低価格です。次に100円が12店舗続き、ここまではほとんどが製麺所タイプのお店です。ということで、大体100円がかけうどんの下限と考えてよさそうです。
逆に高いのはK店でここはなんとかけが600円でした。I店のうどんなら10杯食べられます。なんでこんなに高いのか、行ったことがないのでコメントのしようがありません。てんぷらうどんならまだしも、かけうどんで600円とはさぬき人もびっくりです。次に高いのはG店の500円で、ここはお屋敷風の店構えなので、まあこのくらいはするのかも知れません。
このように見ると製麺所タイプで100~150円、セルフで150~180円あたりが相場かなと思います。ただ安いといっても、お店によって玉の大きさも違うし、また安いのはかけうどんだけといった、なんかしっくりこないお店もあるので、注意が必要です。みなさんも是非さぬきにきてご自身の目で確かめてください。
蛇足ですが、上記の調査は2003年のものです。2007年から小麦価格がかなり高騰したので、セルフ店でも一杯あたり、30~50円程度値上げしたようです。また2013年の価格については、新着情報#389をご覧ください。また2014年の価格(消費税8%へアップ後)については、新着情報#428をご覧ください。
うどん一玉の重さはいくらでしょうか?
スーパーで売っているゆでうどんの袋の裏を見ると、大抵200gと書いています。つまり、ゆでた状態で200gが一応うどんの一人前と決まっています。でも、これだけ食べてお腹一杯になる人は多分いませんね。一人前というには、あまりに小さいからです。なぜ200gが一人前かは知りませんが、とにかくそうなっているのです。
では、さぬきのうどん屋さんのうどん玉はどうなっているのか、調査してみました。結論から言うと312店の平均は約240gで、スーパーのうどんの約二割増となりました。下限は200gでこれだと、やっぱり小さく物足りなさを感じます。わんこそばではないけれど、若い兄ちゃんならポンポンいけそうな感じです。逆に300gを超えると、かなり大きく、食べた気がします。中には、S店のように500gというのもありますが、ここまでくると女性や子供は何を注文すればいいのかと、心配してしまいます。
また一玉の量り方も色々です。製麺所タイプのお店では、おっちゃんがお椀にうどんを入れて、「大体こんな感じやな」で、一玉が決まります。永年やっているので、いちいち量らなくても、当然のことながら、重さは合うことになっています。一方、新しくできたセルフのお店なんかでは、一人前ずつ、丁寧に量っています。毎日担当者が代わるのでマニュアルでそう決められているのでしょう。うどんは長いので、最後の一本はかわいそうにいつも途中で、ぶちっと切られてしまいます。
話は戻って、この一玉の違いは、初めて入るお店ではかなりの問題になります。一玉の量がわからないので、(小)にしようか(大)にしようか迷うのです。中には、A店のうどん(小)がB店のうどん(大)より大きいといった逆転現象も稀にあります。
問題は一玉の大きさだけにとどまりません。 普通は(大)といえば(小)の二倍の量を連想しますが、これも色々です。C店は(小)はかなりボリュームがあるのに、(大)はそれ程でもなかったりします。また、D店では(小)は小さいけれど、(大)はきっちり(小)の二倍あるとか、色々なバリエーションがあるのです。中には、メニューに(1玉)、(2玉)、(3玉)と書いてあるので、これなら安心して注文できそうですが、これとて、基準の一玉の大きさに左右されるので油断はできません。
出てきたうどんが、大きいと「あっ、ラッキー」と思いますが、これはそのうどんがおいしい場合であって、味のないうどんを、砂を噛む思いで食べ続けるのはとても不幸です。みなさんもどうかおいしいうどんを、たくさん食べてください。
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