#022 白峰中学1年生の総合学習
坂出市立白峰中学1年3組6班の生徒たちが総合学習のために製粉工場を見学にきました。やってきたのは次の4名。
小田 恵司君
奥谷 幸太君
小網 政広君
三木 亮尚君
質問の一部は次の通りでした。
(Q)小麦粉はどうやって作っているんですか?
(A)製粉工程を一言で説明するのは、なかなか難しいことです。精米の場合は、玄米の周りを削って、白米にすればおしまいです。しかし、小麦は、加水して一晩寝かします。また、一度に粉にまで小さくするのではなく、最初粗砕きして、篩い分けをし、粒度別になったストック(製品になる前の段階のもの、半製品ともいいます)をまた違う製粉機で砕いてやります。こういった一連の工程を、予備知識なしに説明して、理解してもらうのはかなりキビシイ。 ⇒ よければ、小麦粉の話のページにも説明があります。
(Q)うどんはどこの国のどんな種類の小麦を使っていますか?
(A)主流はオーストラリアのASWです。ただ、生徒一人が、「香川県には「さぬきの夢2000」という小麦があって、これはうどんにするのが難しいんでしょ」というので、「おぉ!こいつ、なかなか勉強してるじゃないか」と唸りました。
学校の成績は、主要5科目の合計点で一応順番が決まります。うどん用の小麦粉も同じで、「味の良さ」、「めんの艶」、「コシの強さ」、「なめらかさ」、「作業性(うどんの作りやすさ)」、・・・など色々な科目があって、その合計点で順番を決めることができます。そして、「合計点となると、ASWかなあ!」というのが、一般の評価のように思います。
では「さぬきの夢2000」はどうか?「さぬきの夢2000」は、味の良さではトップ(かと私は思います)ですけど、作業性が今ひとつでしょうか。逆に「さぬきの夢2000」で上手にうどんができれば、名人かもしれません。言い方をかえると、「打ち手を選ぶ小麦」でしょうか。でもね、さぬきの小麦のというのは、元々こんなカンジだったんですね。さぬきの場合、気候は温暖で、しかも水田の裏作として小麦を作っているので、たんぱく質は低くなりやすいのです。だから丁寧につくらないと、切れやすくなるのです。しかし、その分うどんはソフトな口当たりでありながら、強いコシがでるのです。
最近は専門店といえども、ミキサーなどの製麺機を使っているところも多い、というか完全な手打ちというところは、まずありません。機械はいつも同じ調子で、押したり、引っぱったりします。生地が柔らかいとか、硬いとか、またグルテンが多いか、少ないかには関係ありません。だから、時に切れたり、延ばしすぎたりするのです。でも、人間だったら、生地の柔らかさをみながら、そのあたりの加減ができるのです。つまり、現在の製麺機械では、そのあたりのファジーな制御がまだできないのです。
国語の80点と数学の90点は比較できないように、違う科目は比較する意味がありません。小麦粉も自分の好み、目的に応じて選択するのがベストです。これは別に言い訳でも何でもありません。一日に何百人も来るようなお店では、多分作業性のよいASWでないと対応できないでしょう。また、注文を聞いてから釜にうどんを放り込むような、こだわったお店なら、「さぬきの夢2000」がいいかもしれません。その場合、うどんがゆであがるまで待ってもらうことになりますが、それだけの値打ちのあるうどんであると思います。