#026 うどんの味って脱酸素剤で変わるのか?

最近は食品の保存方法についても、様々な新技術が開発されて便利になりました。その一つに脱酸素剤がありますが、エージレスといった登録商標の方が、馴染みがあるかもしれません。よくまんじゅうなどの生菓子の袋に入っていて、「食べられません」と書かれてある小さな四角い袋です。これが密閉された袋の中の空気(厳密には酸素)を吸収し、食品の劣化を防ぎます。具体的には、カビの発生を抑制し、風味の劣化を遅らせ、また変色の防止などの効果があります。

こんな感じの脱酸素剤

こんな感じの脱酸素剤

釜入れ直前の水分含有率の多い生うどんも、この脱酸素剤を利用することによって食品添加物を加えることなく、一週間程度保存することができます。このお陰で、さぬきのうどん屋さんのうどんをそのまま、全国に皆さんにお届けすることができるようになりました。ただ、一口に脱酸素剤といっても、今では色々なメーカーがそれぞれの名前で発売しています。でも、どれを使っても違うのは名前だけで、機能的には大差ないだろうと、これまで思っていました。

で、先日あるところから、「脱酸素剤Aを試してみてよ」とお話があったので、あんまし乗り気ではなかったんですけど、社内テストをすることになりました。テストといっても、ただ作った生うどんを2袋用意し、一つに脱酸素剤Aを、もうひとつには従来社内で使用していた脱酸素剤Bを入れ、冷蔵庫に一週間保存した後、ゆでて食味試験をするだけです。

試験はもちろん、商品名を伏せておこないましたが、驚くべき結果となりました。なんと4人中4人全員(私も含めて)が「A」を入れたうどんの方が、色、艶、味すべてにおいて優れていると感じました。4人全員がそう感じるのだから、「A」の方が、圧倒的に劣化防止性能が高いということになります。脱酸素剤ひとつでこんなに違いがあるとは、びっくり。

なんでそうなるのか、その違いを考えてみました。一応袋の中には、検知剤をいれておき、これは密閉された袋の中の酸素がなくなった時点でピンク色に変わるものです。すると「A」の方は丸一日で、ピンク色に変わったのに対し、「B」の方は、2日余りかかりました。つまり、「A」の方は製造後24時間後に劣化が止まったのに対し、「B」の方は、その倍以上かかったため、かなりの差がでたのではないかと推測。脱酸素剤ひとつでも、品質にかなりの影響を及ぼすことがわかり、大変勉強になりました。