#047 「さぬきうどん課」はいかが?

富士山といえば何県を連想しますか?地図をみると太平洋側は静岡県に、また反対側は山梨県の2つの県にまたがっています。それも頂上を境に結構うまく別れていて、どちらの県に帰属するか判断の難しいところです。また頂上の所在地がひとつの目安になりそうですが、これは敢えて未確定のままになっていると聞きました。結局抗争の元になるので、富士山はどちらの県にも属さないというのが最良の結論のようです。

さて先日、富士吉田市に行ってきました。ここは静岡県ではなく山梨県富士吉田市です。さぬきの人は、私も含め富士市を連想するのか、大抵静岡県と答えます。それはどっちでもいいんですが、この富士吉田市は、「富士吉田うどん」の産地として、近年有名になってきたところです。富士吉田うどんは市役所の HP にも詳しく紹介されていますが、そこを見ていてびっくりしたことがあります。それはその担当部課名が「富士山課」という独立した課なんです。
(富士吉田市はここ ⇒ https://www.city.fujiyoshida.yamanashi.jp/forms/top/top.aspx

最初目撃したときは、あいた口が塞がらず、絶対冗談だと思っていました。しかし何度みても、富士吉田市役所には「富士山課」があります。「富士山課」という限定された目的のために独立した部課が存在するのは、極めて例外的、というより私は他には知りません。この一見、日本のお役所には到底似つかない名前の「富士山課」ですが、よくよく考えると、実際に設置した富士吉田市の行動力もさることながら、この着想に感じ入ります。だって少し考えただけでも次のような利点があります。
(富士山課はここ ⇒ https://www.fujisan-net.jp/data/article/1093.html)

●富士山に関することなら、とにかく「富士山課」に聞けばよい。これは富士山について疑問がある人々にとって、至極便利。
●「富士山課」は富士吉田市にあるので、自然と「富士山は富士吉田市にあるのかな?」と思ってしまう、というより心情的には、「富士山とくれば山梨県」でしょう。
●「富士山課」なる課がある富士吉田市は、遊び心のある地方都市として、初めて接する人でも親しみをもち、そのイメージアップなどの効用は計り知れない。

ここで香川県について考えてみます。「さぬきといえば○○○」、この○○○にあてはまる言葉は多分「さぬきうどん」が最も適切であると考えます。そうすると山梨県に「富士山課」があるなら、香川県のどこかの市町村に「さぬきうどん課」があってもなんら不思議ではない、というよりなくてはならないと考えます。ざっと思いつくだけでも、「さぬきうどん課」を設置する意義としては次のようなものがあります。

●さぬきうどんについて問い合わせは、全て「さぬきうどん課」で対応するので、尋ねる方は、たらし回しされることなく、またお役所内でも業務がスムーズに行える。つまりこれまでは各部署で個別に対応していたもの が、一本化できる。

●さぬき人としての「さぬきうどん」に対して取り組む姿勢を、県内外に向かってアピールできる。

●縦割り行政にとらわれないユニークな部課を設置することで、役所に対するイメージが確実にアップする。またお役所という硬いイメージが払拭される。そして何より人々から親しみをもってもらえる。
「さぬきうどん課」をつくろう!
少なくとも現在は、香川県における最大の観光資源は「さぬきうどん」です。よってくどいようですが、「さぬきうどん課」という独立した部課を設けることは、意義深いことだと考えます。もし組織上無理なら(といっても富士吉田市は実行しましたが)、併設でも、ヴァーチャルでも、また人員も他部署との兼任でも仕方ないと思います。重要なことは、まず「さぬきうどん課」という器をつくることです。もしどこかの市町村が「さぬきうどん」でもって活性化を図る意志があるなら、これほど簡単で、安価で、そして効果的な投資はないと考えます。

もちろん、問題点もあります。例えば「さぬきうどんだけを特別扱いできない」というご意見。ごもっともです。しかし、何もかも横並びを意識すると、特徴がなくなってしまいます。ここは恐れずに、敢えて、効果の見込める分野に集中的に投資することも重要であると考えます。また、技術的な問題点として、「一口にうどんといっても小麦、小麦粉、うどんの作り方、うどん店の紹介、また観光としての PR の方法など、それぞれ担当部署が違うので一本化は難しい」というご意見。これもごもっともです。しかし、だからこそ「さぬきうどん課」が入り口になれば、聞く方はたらい回しされることもなく、利用者にとってもこちらがずっと便利です。

実際、今回「さぬきうどん課創設しませんか?」といくつかのお役所に提言しましたが、いまのところ手を挙げたところはありません。それどころかあるお役所には、完全に黙殺されました(泣)。最初メールをだして返事がないので、二度目を出しそれでも返答がないので、電話で確認すると、「確かにメールはいただいています」とだけ返答ありました。結果の如何にかかわらず、その対応の不味さに唖然としました。このような対応をされる職員はほんの一握りだと信じていますが、いざ目の当たりにすると、悲しくそして情けなくなりました。

「さぬきうどん課」って地域活性化の切り札としては、かなりいい線いっていると、自画自賛したくなるんですけど、周囲とはかなりの温度差があるのかも知れません。いずれにしてももしやるなら、これは最初にやらないと恩恵はありません。「他がやったのでウチでも」では二番煎じになってしまい、効果はないのです。我と思わん勇気ある市町村は是非一番乗りを果たしてください。