#057 さぬきうどん科
「さぬきうどんか」といっても、今回は「さぬきうどん課」ではなくて「さぬきうどん科」の方です。これは現在、実際に香川県立丸亀高等技術学校が開設しているコースの一つです。さすがに学校内にうどん屋をつくる訳にもいかないので、「委託訓練コース」として外部に委託していますが、それにしてもなかなか着想がユニークで素晴らしいと感じます。学校の基本理念は、次のとおり。
(基本理念)
「ものづくりの分野で必要とされる、高度な技能と知識を兼ね備えた技能者を育成し、本県経済社会の発展に寄与する」
なるほど。特にさぬきうどんは、香川県を代表する特産物であり、うどんづくりにおいて高度な技能と知識を持った技能者を育成することは、この基本理念に正しく合致します。実は、この「さぬきうどん科」の設置は高松高等技術学校の方が早かったんですが、平成 13 年~ 16 年まで開設した後は、委託先が見つからず、現在一時休止となっています。丸亀高等技術学校の方は、平成 15 年に開設し、現在第4期生が卒業間近です。「さぬきうどん科」の詳細は上記のサイトを見てもらえばいいんですけど、ここで簡単に紹介しておきます。
委託先はさぬき麺機株式会社で、ここは製麺設備が充実しているだけでなく、本物のうどん店顔負けの模擬店まで設置してあるので、研修場として理想的です。研修期間は約 80 日間。これだけあれば、手打ちうどんを好きなだけ打つことができ、みっちりとうどんの修行ができます。よく 2 日間コースとか 5 日間コースというのはありますが、足掛け 3 ヶ月にわたる長期コースは他には類がありません。しかも・・・、しかもです、受講料は無料。もしうどん屋を開業されるつもりがあって、時間に余裕があるなら、これはかなりのお買い得、というかタダです。
コース内容は、基本的にはさぬき麺機㈱での手打ちうどんづくり、だしの作り方などの研修が主体になります。それに、近所の瀬戸内短期大学で 5 日間程度、衛生管理などの授業および研修。また、店舗研修と称し、週末にはいくつかのうどん専門店での実地研修があり、これが合計 10 日間程度予定されています。更には、繁盛店巡りとか製粉工場見学など、うどん店開業に必要な全てが網羅されています。
高等技術学校は、実践的な技術を身につける場所として、大抵どこの都道府県にも設置されています。でも設置コースはどこも、電気とか機械、また最近では情報処理関連もありますが、ほとんどがこのような全国区的な科目になっていて、内容だけではどこの高等技術学校のことなのか、なかなかわかりません。そういった中で、この「さぬきうどん科」というのは、学校の理念と香川の特産であるさぬきうどんを下支えする目的がうまくかみ合った、一石二鳥の素晴らしいクリーンヒットであると考えます。
ただ、これを継続するには、受入れ施設がないと成り立ちません。 80 日間という長期間は、受入れ側にとってはかなりの負担になります。実際に最初に始めた高松高等技術学校の方は、現在一時休止のやむなきに到っています。さぬき麺機さんには地域活性化の一環、また特産品のさぬきうどん振興のためと割り切って、今後も続けてもらうようお願いするしかありません。それにしても、折角「さぬきうどん科」というすばらしいコースがあるのだから、ついでに「さぬきうどん課」もどうですか?