#106 もちつき機・・・その2

前回の続きです。「もちつき機」の取説のレシピが気になっていたので、ダメもとで挑戦してみました↓。

中力粉 500g
270g
20g
練り時間 20分

 

これって、加水率58%(290÷500×100%)になるので、やる前から加水が多すぎるのはわかっていた。しかも塩水濃度は7%未満なので、どう考えても「べとべと」になることは容易に想像できました(でも、こういう機会でもないと自分からは、絶対やらんもんね)。以下その一部始終。
前回は、加水48%だったので、もちつき機で捏ねた後も、ひとつの塊になることはなかった。しかし、今回は捏ね始めて2、3分も経つと塊になり始め(②)、その後はまるで餅をついてるようにしか見えない。中央のヘラは結構高速で回転しているのに、生地はそれよりはかなり低速で振動しながら回転している。でも、時々ヘラに引っかかって、「ごろっ」と一回転したりして、見ていてなかなか飽きない。指示通り20分練り続け、できあがった生地(③)は、それこそパン生地もしくはつきたての餅みたいで、麺打ち台に「そっ」と置いても、自重でお鏡餅のようになってしまった。丸め直しても、重力に引っ張られてすぐにぺっちゃんこになってしまう。もちろん、到底足踏みできるような状態ではなく、踏んだらそれこそ穴が開きそうだ。

捏ね始めたところ↓

捏ね始めたところ↓

加水が多いとすぐに塊になります↓

加水が多いとすぐに塊になります↓

20分捏ねてできあがり↓

20分捏ねてできあがり↓

それでもレシピ通り、1時間熟成させ、打ち粉をたっぷり振って延ばしてみた。と、いうか麺棒で延ばす必要はなく、軽く押さえるだけでいくらでも勝手に延びてくれる。打ち終わった後(?)、再度打ち粉をたっぷり振り、屏風だたみにして、ゆっくりと切る。充分に打ち粉を振っても、すぐにはほぐれず、少しでも絡んだまま引っぱろうものなら、「びろーん」とそうめんのように延びてしまう。またどんなに気を遣い、丁寧に切っても、下敷きになった下の方は、薄くなってしまい、向こうが透けて見えそうな感じ。延ばすのは楽ちんでも、その後の作業はずっと大変で、全体としての作業効率を考えるなら、普通の加水率で延ばす方がずっと簡単だ。

で、だましだましのことでやっとゆでて、釜どりにしたのが次の完成写真だ(④)。柔らかくて薄いので、ゆで時間は7~8分かな。ゆでる前は、加水が多すぎたのでグルテンに生地を支える力が充分にはなく、取り扱いが大変だった。でも一旦ゆでてしまうと、でんぷんが糊化、つまり糊状になりしっかりと固まるので心配ない。つまり、うどんが切れずに、つなぎ止めておくことができる「つなぎ力」は、グルテンからでんぷんへと交代するので、ゆでた後は切れることはなく、柔らかくて優しいソフトなうどんになる。

鳴門うどんのできあがり・・・かなり旨い

鳴門うどんのできあがり・・・かなり旨い

実際食べてみると、さぬきうどん特有のコシはないものの、多加水のお陰で、小麦風味たっぷりのうどんができあがり、お茶漬けのように「さらさら」と、いくらでもお腹の中に収まってしまう。そういえば鳴門うどんというのも、こんな感じかな。今回試作した超多加水うどんは、確かにおいしいうどんには違いない。「足踏み」しなくてもできるのはすごいけど、手間暇考えると、もう一度やってみるのは相当の覚悟が必要だ。今度は、もう少し加水を減らしてやってみよう。