#120 製粉後の小麦粉の変化①・・・グルテン
新着情報#118では、「保存は紙袋よりもポリ袋が良いでしょう」と報告しました。ここでは、「製粉後の小麦粉は、どう変化するのか?」、少し調査してみました。その結果、多少参考になりそうな資料が見つかったのでここに紹介します。内容がちょっと硬いですけど、引用しながら説明すると、どこが引用部分かわからなくなるので、とりあえず引用部分だけを先に紹介します。「である」調は、本意ではありませんが、引用部分ということでご了承ください。
製粉後の小麦粉の熟成について① 「穀物とその製品の保存について(D.B.ザウアー編)」より |
では、上記と重複する部分もありますが、少し補足します。小麦粉の生地を自由に成形できるのは、グルテンの粘弾性によるお陰だとこれまで繰り返し説明しました。でもこのグルテンの性質である粘性と弾性は、ずっと維持できるものではなく、時間と共に劣化します。コズミンさんは、小麦粉中の遊離不飽和脂肪酸が増えることによって、この劣化が進行することを見つけました。不飽和脂肪酸が何であるかは今は置いといて(説明できる立場にありません)、とにかく小麦粉が空気に触れることによって、この不飽和脂肪酸なるものが増えると思ってください。で、これらを簡単にすると次のようになります:
「小麦粉が空気に触れる」
↓
「遊離不飽和脂肪酸が増加」
↓
「グルテンが劣化」
↓
「うどんが切れやすくなる」
つまり食味はさて置き、少なくともうどんの食感については、挽いた直後の小麦粉を使えば、グルテンの粘弾性が一番強く、艶があってぷりぷりしていることになります。うどんが切れるようになるまでには、グルテンがかなり劣化する必要がありますが、グルテンの僅かな劣化を意識されるのは、手延べそうめん製造者です。というのは、手延べそうめんは、太い生地をどんどん引っ張り続け、最終的に手延べそうめんの細さにまで加工します。よって伸展性や弾性が充分でないと、途中で「ぼとっ」と切れて仕事になりません。つまり新しい小麦粉程、加工適性が良いことになります。実際、手延べそうめん製造者は経験則として、新しい小麦粉が良いことを知っているので、いつも「挽きだちの粉」を使用します。ということで、いつも同じ結論ですけど、少なくとも麺用は、新しい程いいんじゃないかと。