#337 機械製麺③・・・ロール製麺
【②複合ロール機】
乾麺製造における加水率は40%以下と、一般の手打ちうどんと比べるとかなり少ないので、ミキサーからでてきた生地は、大きな塊をではなく、小さな塊を含むそぼろ状になっています。よって次にすべき作業は、バラバラの生地をまとめあげ、これを「粗麺帯」という連続したベルト状の生地にすることです。
ただバラバラの状態では、ロールへの食い込みが悪いため、そぼろ状の生地を押し込むようにロールに供給し、粗麺帯を作ります。この粗麺帯は一度に2枚作り、その直後に、この粗麺帯を2枚重ねのサンドイッチにして、ロール機にかけ1枚の麺帯にします。
1枚の粗麺帯では比重も小さく、十分な圧力で生地を締め付けることもできず、また生地密度が不均一であるために、薄く延ばすにつれて、両端が切れたり、部分的に厚みが異なったりして良い生地が得られません。しかし2枚重ねにすることにより、こういった問題は解消され、生地密度が高くなります。このサンドイッチにする作業は、手打ちうどんでは「足踏み作業」に相当し、これによりグルテン組織がほぼできあがります。もちろんこのサンドイッチは2枚重ねよりも3枚以上の方がより大きな効果が得られますが、効率を考えると2枚重ねが一般的のようです。よって粗麺帯をつくり、これを2枚重ねにして、麺帯を作るまでが複合ロール機の役目です。
【③熟成コンベア】
手打ちうどんでは足踏みが完了した生地は、グルテンの伸展性を高めるために熟成させますが、機械製麺ではコンベアを使用します。コンベアと言っても何かするわけではなく、ただ時間稼ぎのためだけにここを通過させ、麺帯の熟成を促します。昔は複合機からでてきた麺帯を、一度巻き取った状態で一定時間熟成させていました。しかしその方法だと、そこで一旦手作業が入り非効率なので、今は熟成コンベアの利用が一般的です。
【④圧延ロール機】
熟成が完了した生地は、圧延ロール機にて圧延されます。この工程は手打ちうどんの麺棒による「延ばし」工程に相当します。一気に延ばすとグルテン組織が破壊されるので、徐々にロール間隙を狭くしながら、最終的な厚さにまで延ばします。うどんは厚く、そうめんは薄く、そして冷麦はその中間になります。一般的な圧延工程では、5台のロール機を使用して徐々に薄くするので、この圧延ロール機は「五列」と呼ばれています。
【⑤切り出し】
最終的な厚さに圧延された生地は、切り出しロール(もしくは単に「切刃(きりは)」)によってカットされます。この切刃は包丁とは異なり、どちらかというと押し出すようなカンジで麺がでてくるので、角が少し丸くなっています。ときに、「包丁切りの麺の方が、角が立っているのでより高級だ」と意見を耳にします。見た目は確かにそうかも知れませんが、味そのものに対する影響はそれ程ないと思います。尚、うどん、そうめん、冷麦といった麺の種類は、JAS法によりこの切り出しの幅によって決められています(#69、#70)。