#480 腸内フローラ

f480最近、「腸内フローラ」という言葉を良く耳にするようになりました。そこでカスタマーレビューを参考に「驚異の腸内フローラ(田中保郎著)」、「腸内革命(藤田紘一郎著)」の2冊を選び、素人の視点から簡単にまとめてみました。

フローラ(flora)は「叢(そう)」、つまり草が群がって生えている「くさむら」や「花畑」のことを指します。私たちの腸内には、何百種類もの腸内細菌がびっしりと張り付き、その数は100~1,000兆個、重さにして1kg以上といわれ、その腸内環境がさながらフローラのようだというので、「腸内細菌叢」もしくは「腸内フローラ」とよばれています。

ほぼ無数ともいえる腸内細菌は、普段は①善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)、②悪玉菌(大腸菌、ウエルシュ菌など)、③日和見菌(通常は何もしないが体調が崩れると悪さをする菌)の3種類がバランスのとれた状態で存在しています。しかし何らかの原因で腸内環境が悪化すると、便秘になったり下痢したりして健康状態が崩れることになります。この腸内細菌のバランスは年齢や食生活によっても大きく異なります。生まれたばかりの赤ん坊の腸内は善玉菌でいっぱいですが、年齢と共に善玉菌が減り、悪玉菌が増え、特に壮年期を過ぎ老年期になるとこの傾向が顕著になります(画像参照、「腸内革命」P75より)。

「腸内革命」P75より

「腸内革命」P75より

肉体同様、加齢による腸内環境の劣化は、自然な経年変化で避けられないことかも知れません。しかしこの腸内環境の劣化は食生活によって、ある程度の改善は可能です。以前は「食物のカス」として見向きもされなかった「食物繊維」ですが、実はこの腸内環境改善に非常に有効であることがわかってきました。小麦ふすまには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれています。水溶性の食物繊維は、腸内細菌のエサとなり、不溶性の食物繊維は水分をたくさん吸収するので、便のカサを増して柔らかくし、スムーズに排泄する働き、つまり便秘の予防や改善の効果、そして胃腸をきれいにしてくれるお腹の清掃機能があります。また最近では動脈硬化、糖尿病、大腸がんなど生活習慣病の予防にも効果があることがわかってきました(新着情報#245#258)。

このように私たちの健康にとって食物繊維は不可欠ですが、残念ながら現在の食生活では充分には摂取できていません。厚生労働省は、一日当りの食物繊維摂取量20g以上を推奨していますが、現在私たちの平均摂取量は僅か12~14g程度にしか過ぎません。ただ私たちも戦後間もないころは、充分な食物繊維を摂取していた時期がありました。これは料理が和食中心であったのに加え、調理方法が切ったり、煮たり、焼いたりと直接調理していたためです。ところが現在は、口当たりを良くし食べ易くするために、加工度を上げた結果、大切な食物繊維がごっそりと抜け落ちてしまったということでしょう。

以下は「腸内革命」に掲載されていた腸内細菌の働きのまとめです。様々な働きがありますが、特に④の「腸内細菌」と「幸せ感&健康感」の関係には、全くびっくりでした。ドーパミンは「幸せを記憶する物質」、セロトニンは、「心身と自律神経をコントロールする物資」でこの2つの神経伝達物質が多いほど、「幸せ感」と「健康感」を感じやすくなります。そして「風が吹けば桶屋が儲かる」ではありませんが、
「食物繊維をたくさん摂取 ⇒ 腸内細菌が多く腸内フローラがきれいな状態に保たれる ⇒ 「幸せ物質」の前駆体がたくさん製造される ⇒ より幸福感を感じる」
といった具合です。それにしても腸内細菌によって幸福感がもたらされるとは、にわかに信じがたい事実ですが、興味がある方は、ご紹介した2冊をご参照ください。

【腸内細菌の働き】
①病原菌を排除する
②消化を助ける
③ビタミンB群を合成する
④セロトニンやドーパミンといった「幸せ物質」の前駆体(一歩前の状態の物質)を脳に送る
⑤免疫力をつける

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