#528 「栄養成分表示」・・・その②
次は、食品にナトリウム塩を添加している場合の表示です。「ナトリウム塩」とは「塩化ナトリウム(食塩)」、「グルタミン酸ナトリウム」、「グアニル酸ナトリウム」といったナトリウム塩を指しますが、早い話、塩のことです。身近な例としては乾麺があります。
【ナトリウム塩を添加している場合の例・・・乾麺】
乾麺の原材料は、「小麦粉、食塩、水」、つまり「塩」を添加しているので、塩分についての表記は、「食塩相当量」のみ表示可であり、「ナトリウム表示」は不可。よって基本的な表示例は、下記の乾麺①となります。ここでご注意いただきたいのは、この例では食塩相当量が4.5gと表示されていて、かなり多くの塩分が含まれていることがわかります。しかし乾麺はそのままかじって食べることはぜず、普通はゆでて調理します。そしてゆでることによって、乾麺中の塩分のほとんどは、お湯に溶け出してしまいます。
詳しくいうと、100gの乾麺をゆでると、水分を吸収し、ゆで上げ後の重量は約3倍の300g程度になります。一方、塩分は溶け出し、最終的に麺の中に残る塩分は約0.4g程度になります。調理することで、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物は変わりませんが、塩分は減少します。よってこのような場合は、右下乾麺②の表示のように栄養成分表欄外に、「ゆで後の食塩相当量は約0.4g」と表示する方が親切です。
尚、これら基本的な5栄養素については、±20%の誤差が認められています。例えば右例では、たんぱく質が8.3gとなっていますが、実際は6.6g~10.0gの範囲であればOKとなります。少し誤差の許容範囲が大きいような気もしますが、食品というのは、その成分においてはかなりの変動が予想されるため、余裕をもって設定されています。
但し例外があります。この表示例の脂質については、0.4gなので、そのまま適用すると±20%の許容範囲は、0.32g~0.48gとなりかなり狭い範囲となり現実的でありません。そこで含有量2.5g未満のもの対しては±0.5gの誤差が認められ、この例でいうと0~0.9gの範囲で良いことになります。
【基本5項目以外の成分表示】
上記基本5項目以外に、ビタミン類、ミネラル類は、任意表示が可能ですが、これらは項目数が多いので、全てを表示するとなるとかなりのスペースが必要です(項目数は下記参照)。表示する場合、右図のように基本5項目に続けて、ビタミン類、ミネラル類の順番で表示します。
・ビタミン類(ナイアシン、パントテン酸、ビチオン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸)
・ミネラル類(亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、ナトリウム(食塩相当量で表示)、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ヨウ素、リン)
手前味噌になりますが、弊社製品に「玄米うどん」という、玄米全粒粉を30%使用した乾麺があります(小麦粉は70%)。ときどきユーザの方から、「玄米うどんの栄養成分はどうなっているのでしょうか?」というご質問を受けます。中力粉と玄米の栄養成分表(下記参照)を比較すると、基本5項目においては大差ありません。つまりカロリーやたんぱく質、脂質などはほぼ同じです。違いは、黄色部分で示した、ビタミン類やミネラル類等の含有量です(玄米うどんの栄養素は、下記表の中力粉と玄米とを7:3で配合したものになります)。
玄米表面の米ぬか部分には、ビタミンやミネラル類が豊富に含まれています。江戸時代、白米を食べる習慣が広まり、脚気(かっけ)患者が多く発生しましたが、これはビタミンB1欠乏によるものです。つまり玄米には、私達の生活に必要な微量栄養素がバランス良く含まれていることがわかります。