#302 平成23年度産(2011)・さぬきの夢2000 vs. さぬきの夢2009

香川県で栽培されている小麦の品種は、今年から3年間かけて、「さぬきの夢2000」から新品種「さぬきの夢2009」へと切り替わります。少し詳しく説明すると「さぬきの夢2009」は、昨年68t、今年は427.6tが収穫されました。

そしてこの秋には540haの作付が予定され、来年の作付で全面切り替えの予定です(下表参照)。弊社新着情報でも、これまで何度か取り上げてきましたので、簡単におさらいをしておきます。また併せてこれまでの「さぬきの夢」の歩みを掲載いたします。

 

【新着情報#206】 「さぬきの夢2000」後継品種・・・ 香育20号 vs. 香育21号
「さぬきの夢2000」の後継品種を決定するにあたり、有望品種2銘柄が最終候補として残りました。そこで、1000人の消費者を対象に、実際のうどん店で食べ比べをしていただきました。

【新着情報#207】 香育20号&21号の製粉適性および後継品種としての適性
2銘柄を製粉する立場から説明いたしました。

【新着情報#210 「さぬきの夢2000」の後継品種は香育21号に決定
最終的に、プロジェクト委員会にて、「香育21号」が後継品種に決定しました。

【新着情報#232 さぬきの夢2009(今後小麦及びうどんの名前は「さぬきの夢」に統一)
「香育21号」の登録品種名は「さぬきの夢2009」ですが、今後はこれから小麦粉及びうどんは、すべて「さぬきの夢」に統一して呼ぶことになりました。

【新着情報#257】 「さぬきの夢2009」と「さぬきの夢2000」のグルテンの違い
両者のグルテンの違いについて説明いたしました。

【新着情報#293】 H23年度産「さぬきの夢」の作況
今年(2011年)の作況について説明いたしました。

【「さぬきの夢」のあゆみ】(JA香川県発行きらり2011年6月号より) 
1991・・・香川県農業試験場が品種開発に着手
2000・・・「香育7号」を「さぬきの夢2000」と命名
2001・・・香川県の奨励品種となり23haで栽培開始
2003・・・品種登録され、香川県でのみ生産される小麦となる
2004・・・栽培面積が1086haに拡大。「さぬきの夢2000こだわり店」の認証開始
2009・・・「香育21号」が後継品種に決定。作付面積:20ha
2010・・・「香育21号」が品種登録され、「さぬきの夢2009」と命名。統一ブランド名を「さぬきの夢」に決定作付面積:100ha
2011・・・作付面積:540haに拡大。
2012・・・「さぬきの夢2000」から「さぬきの夢2009」へ全面切り替え(2000ha作付計画)

さて、「さぬきの夢2000」から「さぬきの夢2009」へ変わったことで、うどん屋さんにとって一番の朗報は、グルテンの性質が粘り強くなったことによる作業性の向上です。一方、味覚ついては、両者とも根強いファンが大勢いて、これはそれぞれの好みによるとしか言いようがありません。で、今年の出来はどうかと思い両者の食味試験を行なってみました。作ったうどんは、乾燥うどんと半生うどんの2種類ですが、どちらも同様の傾向でした。結果は、テイスター3名とも今年(というか今回)に限っていえば、「さぬきの夢2000」の方が、色調、食感、食味において若干優れていると感じました。つまり薄い淡黄色、噛んだときのモッチリ感、そして噛んだ後に少し遅れて口の中に広がる淡い甘味に好感が持てました。

ではどうしてそのような結果になったのか、理由を考えてみたところ、今年の「さぬきの夢2009」は全量2等麦だったから、だと考えるに至りました(「さぬきの夢2000」は40%が1等麦、#293)。そしてそうなったのは、季節はずれの台風2号により、収穫直前の麦穂が倒伏したからだと考えます。もちろん「さぬきの夢2000」も同様に雨風に遭ったわけですが、「さぬきの夢2009」は多収性であるために穂が重く、しなっていたので、倒伏しやすかったのだと思います。よって通常であれば、当然また違った結果になるはずです。