#008 うどんテイスティング ・・・ 並塩 vs. 超高級塩

目的:塩の違いはうどんの味にどのように影響するか?

詳細:2種類の塩を用意。ひとつはうどん専門店、製麺所などでもっとも多く使用されている25kg入り業務用の粗塩:「H」で、価格も1kgあたり100円以下と断然安い。もうひとつは昔の製法でつくった超高級塩、いわゆる太陽の光と浜風の力で海水の濃度を濃くした後、平釜でくつくつと煮つめた「海水直煮法」の塩:「S」。

小麦粉はASWを使用。小麦粉および塩のスペックは次のとおり。尚、普通ならこの時期に加水50%は少し軟らかすぎだけど、塩度を15%にしているので実際の水の量はそんなに多くない。塩の影響がよくわかるようにと、塩を多めにしてうどんテイスティングをしました。

作業条件:

主な特徴 粗塩:「H」 超高級塩:「S」
Mg含有量 0.21% 0.52%
NaCl含有量 95% 88%
1kgあたりの価格(概算) 60円 900円

 

小麦粉成分表
原料小麦
ASW
水分
13.57%
灰分
0.364%
アミロ
1010
グルテン
28.4%

 

作業条件
気温
30℃
加水率
50%
塩度
15%
ゆで時間
13分
製法
手打ち


結果:
色)見る限りにおいては変化なし。塩の種類が違う以外は条件はすべて同じなので違うはずがない。けど、一応画像がないと、うどんテイスティングの感じがでないのでアップしておきます(左:粗塩「H」 vs. 右:超高級塩「S」)。

(食味試験)結論から言うと、安い塩:「H」を使用したうどんの方が、しっかりといて、また塩味も効いていておいしい。しかし、これは両者の品質そのものよりも、食塩(NaCl)含有量の違いにあると思う。つまり、同じ100gを使用しても「H」には95g、また「S」には88gのNaClしか含まれていないのでその効果には当然違いがでます。では、塩以外に何が含まれているかといえば、Mgなどのミネラルもあるけど、そのほとんどは水です。「H」はべとついて、「S」はぎゅっと握ればおにぎりができるくらいもっとしっとりしています。

Mg(マグネシウム)はにがり成分で、塩の味を甘くしたり(?)まろやかにしたりするといわれていますが、少なくとも今回の比較試験ではその差異は認められないなあ。

結論:うどんに占める塩の価格は大したものではないけど、その差が認められないほどであれば敢えて10倍以上もするものを使用する必要はないでしょう。

今後の課題:次回は食卓塩(更に高純度の塩)も試してみたい。理由はこれまで、高純度の食卓塩はうどんに使用した場合、「ただ塩辛いだけで、うどんに味がなくなる」との声をこれまで何度か耳にしたからです。そこで、それが本当かどうかを確認しようと思います。

確かに、塩の状態で舐めると、粒の大きさにより食感が異なるし、また「S」は超高級という先入観があるためか、確かにまろやかな味がします。でも、製塩会社の方に聞くと、これは「ミネラル云々よりもNaClの純度が低いからそう感じるのです。実際に溶けてしまうとそんなに差はないはずですよ」みたいな答が返ってくるので(こんな本音を言っていいのか?)、「そんなもんかなあ」とも思います。いずれにしてももう一度機会をみて比較試験をしてみたい。

注意:一口に塩度15%といっても、使用している塩に含まれるNaClの純度によって味は全然異なってきます。うどんを作る際には実際のNaClの量に着目した方がいいはずです。