#021 「さぬきの夢2000」推進プロジェクト検討会
かがわ農産物流通消費推進協議会「さぬきの夢2000」推進プロジェクト検討会
日時:2006年1月18日(水)午後2時~4時
場所:香川県庁本館12F大会議室
この会は、小麦の生産者、製粉業界、製麺業界(うどん屋さん)、香川県、学識経験者、消費者の代表(これで全部かな?)など、いろんな人が参加して、力をあわせて「さぬきの夢2000」のうどんを推進、振興していこうというものです。今回の内容を、思いつくまま簡単にまとめてみました。
(1)平成18年(2006年)度産の生産状況
作付見込み面積は約1,350ha(平成18年1月5日現在)で、17年産の1,327haに比べ、20haの微増。但し、生産量は昨年の3,800tに対し、今年は順調にいけば5,100tとかなりな増加が見込まれています。経験則として、厳冬では肥料がよく効いて豊作になるそうです。
将来的には、2,500haの作付面積で10,000tの収穫を目指しています。その場合、約6,500tの小麦粉が製粉され(65%歩留り換算)、さぬきで生産されるうどん全量の10%をまかなうことができます。
(2)「さぬきの夢2000こだわり店」
こだわり店(認証店)とは、「さぬきの夢2000」小麦粉100%を使用し、うどんの製麺技術向上に意欲的で、総合的に「このお店なら大丈夫」と判断され、認定されたうどん屋さんです。現在4店舗ありますが、2006年2月1日に新しく3店舗追加されます。楽しみにお待ちください。
(3)「さぬきの夢2000」の品質
「さぬきの夢2000」の特徴は一言でいうと、従来品(主としてASW)と比較して、味の良さでは定評があるものの、作業性にやや難あり。メリットとて低アミロースの特長であるもっちりとした食感を挙げる方もいますが、私はでんぷん質の旨味に最大の特長があると感じています。反面、「作業性にやや難あり」といわれる原因は、そのたんぱくの低さにあります。
で、単純に「たんぱくを上げることはできないんだろうか?」と思っていると、意外にも施肥量を増やすとか、施肥時期を遅らせることによって「簡単にできる」と聞いてびっくり。では、なぜしないのか?理由はその弊害が大きいからです。つまり、胚乳部分がくすんで、色が悪くなったり、食感が悪くなったり、また粘弾性が落ちるなどの副作用があるのです。確かに言われてみると、「さぬきの夢2000」は内麦にしては(というよりASWと比べても)、小麦っぽい色をしていて、見るからに美味しそうです。
一般に、小麦のたんぱくは、寒いところほど、施肥量が多いほど、また水田よりも畑作の方が、高いと言われています。実際、同じ「農林61号」でも九州よりも関東の方が、たんぱくが高くなります。そう考えると香川の風土は、温暖でしかも水田で耕作されているところが多いので、低たんぱくというのも頷けます。「さぬきの夢2000」に限らず、「農林26号」、「ダイチノミノリ」、「チクゴイズミ」といった、香川の歴代銘柄は、おしなべて低たんぱくだったようです。
でも、たんぱくが低いからといって、コシがないと考えるのは早計です。たんぱくが高くなると、ただうどんがピンピンとした食感になるだけで、これを本来のコシとは言いません。本当のコシとは、一見矛盾しているようですけど、「軟らかい中にもコシがある」とか「軟らかいけど、噛み切ろうとすると力がいるうどん」という表現がうまく説明しています。わかりやすくいうと、ゆであげ直後のうどんは、中心部分の水分が50%であるのに対し、表面近くは80%であるために、最初噛んだときは軟らかいけれど、中は硬く、それがコシとなって感じるのです。そして、そのコシとは混捏(水合わせと練り)と熟成、つまりうどんづくりの技術によってつくられるのです。
そして、このあたりの工程をキチンとやらないと、「さぬきの夢2000」の場合はうどんが切れたりすることがあります。誤解を恐れずに言えば、「さぬきの夢2000」は「打ち手を選ぶ」小麦なんです。しかし、上手に打った「さぬきの夢2000」だけが持つあの「旨味」はASWおよびそれ以外の小麦粉をもっても代えがたい味である、と個人的には思っています。一度でピンとこなければ、3回くらい食べ比べるとだんだんその違いに目覚めてくると思うんですけど。いかがでしょ?