#030 味の3点セット・・・その1
テレビの書評欄で、「食品の裏側(安部司著)」という本を紹介していたので、職業柄、読んでみました。アマゾンでも上位にランクインされているので、読んだ方もいらっしゃると思います。簡単にいうと:
「最近の食品には何でもかんでも、食品添加物が入っている。実態を知っている人間としては、できるだけとらない方がいいと思うけど、今や食品添加物は必要悪であり、それなしの生活は考えられない。だから摂取は必要最低限にして、できるだけ気をつけましょう」というカンジの内容でした。
一般に食品添加物とは、食品の製造・加工する過程で、ざっと次のような目的のために使用されるものです。
(1)保存性の向上
(2)着色効果
(3)味の向上
で、今やスーパーに並んでいる商品で、袋に入っているものは、乾物など一部を除いて、大抵なんらかの食品添加物が入っていると考えて間違いありません。色々お考えのある方もいらっしゃるでしょうが、ここでは特に、「味の向上」について考えてみました。
一般に味には五基本味というのがあって、それは(1)甘味(2)塩味(3)酸味(4)苦味そして(5)うま味となります。「辛味もあるじゃないか」という意見もごもっともですが、唐辛子のようなひりひりする辛味というのは、味覚細胞ではなく、痛覚で感じるので「味」ではないということになっています。最後の「うま味」というのは、「おいしい、まずい」の「うまい」ではなくて、だしをとるときに含まれる、「うま味」のことを指すので、「旨味」ではなくて「うま味」と書くのが、慣習だそうです。
それはともかく、「うま味」の実体は、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などの「うま味」成分です。グルタミン酸は1908年に東大の池田菊苗博士がコンブのダシとして、イノシン酸は1913年に小玉新太郎博士が、カツオブシのうま味として、そしてグアニル酸(シイタケのうま味)は1957年に国中明博士がそれぞれ発見しました。つまり「うま味」はすべて日本人によって発見されたわけです。私たちが食事をしていて、「これはおいしい」と感じるのは、この「うま味」が隠し味というか、微妙そして効果的に効いているからです。
さて、ここからが本題に入ります。最近、お店に並んでいる「ポテトチップス」、「お煎餅」、「だし醤油」、「ラーメンのスープ」・・・どれもこれも、とっても安価でしかも、おいしくできている、というか、おいしくでき過ぎていると感じることさえあります。敢えて、注文をつけるとすると、それらに共通していることとして次の3つを感じます。
(1)あまりに口当たりが良すぎて、ついつい食べ過ぎること(意図的にそういう味付けになっているのか?)。
(2)商品の種類は違っても、どれも同じような美味しさに感じてしまうこと。
(3)食べ終わった後、舌のまわりにちょっとしつこい「ねばねば」が残ること。