#035 さくら夢(ゆめ)2000と申します
このたび名前が変わりました、これからもどうかよろしくお願いします。
「さくら2000」 ⇒ 「さくら夢2000」
「さぬきの夢2000」は香川県農業試験場にて開発された、さぬきうどん専用の小麦品種です。食感が良好な「西海173号」を母に、色調に優れた「中国142号」を父として生まれた小麦は、開発された西暦2000年にちなんで、「さぬきの夢2000」と命名されました。「さぬきの夢2000」で打たれたうどんは、低アミロースの特長である、もち性の食感を有しています。また深みのある甘味をうどんの特長としてあげるうどん愛好家も多くいます。「もちもち」とした食感は、一口噛んだだけで感じとっていただけるのとは対照的に、この奥行きのある味わいは、食べ慣れるにつれ、だんだんと口の中に広がります。
ただ、「さぬきの夢2000」にも問題点がひとつだけあります。それは、低たんぱくであるため、作業性に少し難があるということです。具体的には、「宵練りすると生地がだれる」とか「加水率の調整が難しい」などといったことです。そのため、うどんづくりには、より一層の丁寧さが求められます。
しかし、さぬきの内麦とは本来そのような特徴を持っています。というのは気候の温暖な地域では小麦に含まれるたんぱく質が低くなる傾向があります。また、同じ土地でも、さぬきのように畑作よりも水田の裏作として耕作する場合、その傾向が一層強くなるからです。でも昔からさぬきのうどん屋さんは、技術でもってそれを補ってきたのです。
そうは言っても、現在では製麺機械を使用しているうどん店も少なくありません。というより、みなさん、何らかの製麺機械は使用しています。そしてそのとき、低たんぱく性が問題になることがあります。つまり生地がやわらかくて「あぁ、切れそうだな」というとき、人であればそれを感じ取って、力加減を調整することができますが、機械だと同じ調子で延ばしてしまうため、「ぶちっ」と切れてしまうのです。
またお店によっては、どうしてもある時間帯にお客が集中するため、宵練りしなければならないときもあります。このときも、たんぱくが低いために、翌日には生地がだれてしまいます。
このような問題点を解消するために、当社では選択肢のひとつとして、2002年10月、麺用小麦としては標準的なASW(オーストラリアン・スタンダード・ホワイト)に「さぬきの夢2000」をブレンドした「さくら2000」という銘柄を追加しました。ASWの作業性の良さと「さぬきの夢2000」の柔らかさを兼ね備えた小麦粉を目標にしました。お陰さまで、今日まで当社のうどん用小麦粉の一銘柄として、残ることができました。
そして今年は5年目を迎えるにあたり、「より一層その内容にふさわしい名前にしましょう」ということで、「さくら夢2000」に改めることになりました。従来の名前に「夢」という一文字がくっつきます。内容はこれまでと変わりません、というか、これまで以上に心を込めて製粉し、名前に負けないよう、更に夢ある小麦粉を目指します。どうかこれからもよろしくお願い申し上げます。