#055 スイスの自転車事情

自転車は好きなので、毎日こいでます。それもタイヤの幅の広いオフロードタイプで、かなり負荷をかけて、坂道を登ります。学生時代は、もっぱら通学が主だったので何とも思いませんでしたが、大人になってからは、風を切るのが快感に変わりました。街中も楽しいですが、それよりもあまり車が通らない山道が最高です。チャリの魅力は、行動範囲が広がる、膝にやさしい、腹が凹む(というより凸るのを遅らせる?)、健康増進などなど枚挙に遑がありません。

 

イス3脚分が自転車用スペースになります

イス3脚分が自転車用スペースになります

以前、オランダでは自転車通勤減税があると聞き、「なんとすばらしい制度だろう」と感動しました。理由は言うまでもなく、「自転車をこぐ⇒健康になる⇒医療費の減る」のでそれが減税の原資になります。簡単にいうと、自動車保険のゴールド割引とか、生命保険の非喫煙者割引みたいなもんです。それに、排気ガスはださない、静かだ、エネルギーは浪費しないなど、いいことだらけです。日本も、医療保険制度が破綻する云々という議論をする前に、こういった予防措置を講じる方がずっと優先順位が高いように思います。だって、みんなが健康になって、健康寿命が延び、医療費減るでしょ。政治家の皆さんよろしくお願いします。

ところで、スイスと言えば、一般には馴染みがありませんが、世界最大の製粉機械メーカーがあります。で、先日そこで短期の製粉講習会なるものを、受講してきました。積もる話はありますが、それは追い追いご紹介ということで、ここではとりあえず自転車の話。スイスでは他のヨーロッパの国々同様、老若男女、みんな自転車をこいでます。特に 60 代、 70 代といった年配の方々が、サイクリング・スーツに身を包み、先のとがったエイリアン・ヘルメットをかぶり、勇ましく疾走する姿には勇気づけられました。そこで感じたこと:

①もっとがんばらないといけない(チャリの方です) ・・・ 実は、ここ一、二年坂道で「あと、もう一踏ん張り」がなかなかできないんです。これも加齢故、仕方ないのかと半ば諦めかけていました。しかし、彼らの走りを見て、まだまだがんばらないといけないし、またがんばれるとの気持ちを強くしました。

②恥ずかしがってはいられない ・・・ 日本では年配の方々がこいでいる自転車のほとんどがママチャリですが、スイスではスポーツタイプをよく見かけます。これまでいい歳したもんが21段変速のマウンテンバイクを乗り続けることに、多少の後ろめたさがありましたが、吹っ切れました。これで周りの視線を気にすることなく、こぐことができます。

 

電車にゆったり乗れるので、こんなことができます

電車にゆったり乗れるので、こんなことができます

スイスにおける自転車は、交通手段というよりも、既に生活の一部になっているので、羨ましいことがたくさんあります。とりわけ電車の中に自由に自転車を持ち込めるのは、素晴らしいアイデアです。日本のように折りたたんで、コミコミの中を申し訳なさそうにする必要はなく、専用のスペースがあるので、堂々とそのまま持ち込んでいます。山手線の電車のように、跳ね上げ式のイス3脚分のスペースに、そのまま持たせかけることができます。

あるとき電車に乗って、うとうとしていると、お姉ちゃんが近寄ってきて「おっちゃん、ちょっと席代わってちょうだい」みたいなことを言うんです(ドイツ語はわからないので想像です)。他にもいっぱい空いてるのに、「けったいな姉ちゃんやな」と思っていると、座っているところが丁度その自転車用のスペースでした。自転車のために席を譲った(譲らされた)のは、初めての経験でとてもびっくりした。