#071 九州うどんツアー・・・その1
昨年末、業界のある研修会で一緒になった人たちの忘年会がありました。研修会参加者の多くが九州在住だったので、博多で開催。鍋を囲んだ後は、当然のように、長浜ラーメンを食べにいきました。まだまだいけると思って、「替玉」券も一緒に買ったんですけど、ラーメンはかなり大盛りで、未使用のままでした。まだここにあるので、次回のチャンスまでとっておきます。
で、折角、博多に集結したので、明日は何をしようかという話になり、あっさりと「うどんツアー」に決まりました。博多といえばあまりにラーメンが有名ですが、うどんもかなりの本場です。実際、郊外を走っていると、うどん屋が気になるせいか、ラーメンよりもうどん屋の看板の方が目につきます。佐賀から来てくれた K 君が車を手配してくれ、九州2名、東京、兵庫、香川各1名の総勢5名で「九州うどんツアー」にいくことになりました。地元の方のご意見に参考に、というよりも言われるがままに、とりあえず次の3店に挑戦することになりました。各店の位置関係は地図をご覧ください。
(1)大力(だいりき)うどん
(2) 立花うどん・柳川店
(3) 牧のうどん・大野城店
宿は皆、同じ博多のビジネスホテルをとったので、順序としてはまず南下しながらお腹を空かせ、それからうどんを食べながら博多に戻って来ましょう、ということに。「九州うどん」に対する知識はほとんどなく、どこかで「九州のうどんは軟らかいよ」というのを聞いた程度。以前は、「うどんって硬い程おいしい」と思っていましたが、歳を重ねるにつれ、一般論ですけど「柔らかい方が、小麦粉のでんぷん質の味がうまくでていることが多い」ような気がして、「軟らかいうどん」を好むようになりました。だから、九州うどん、結構楽しみにしています。
たまたま泊まったホテルのロビーには、近所にオープンしたうどん屋さんのチラシが置いてありました。そこには「・・・多目の加水で生地をやわらかくして、やさしく丁寧にこねあげているから・・・」といった表現があり、なるほどと感じ入りました。さぬきでは判で押したように用いられる、「コシ、コシ、コシ」という言葉はどこにも見当たりません。「さすが九州うどん、どこまでも軟らかさ、なめらかさで勝負」と意気込みが伝わってきます。
(1)大力うどん
ここは地元の N ちゃん、一押しのうどん屋さん。とにかく、「安くて旨い」ので休日には、 1,000 人の来店があるそうです。入ってまずびっくりしたのは、その価格。かけうどんがなんと 130 円。さぬきでは、現在のうどんブームの原動力になったと言われている製麺所タイプでは、安いところでかけうどん一杯 100 円、また新しくできたこぎれいなセルフタイプのうどん店では、 130 円~ 150 円あたりが相場。だからこの 130 円というのは、さぬきと比べてもかなりの価格であることは間違いありません。
で、実際のかけうどんを見て、更に驚いた。何がすごいか?ここのうどんは、そこそこの量があり、しかもお姉さんがテーブルまで持ってきてくれるんです。さぬきで 100 円だと、わんこそば、とは言わないけれど結構小振りで、それだけ食べて満足することはありません。だから大力の一玉はかなり価値があります。この量にしてこの価格、そしてセルフでないというのは、とっても良心的というか、よくこの値段で商売ができるもんだな、というのが正直な感想です(すごい~)。
私は、折角九州まできたんだから、なにか名物でも思い、思い切って「ごぼう天うどん」を注文しましたが、これでさえ 250 円なんです。「ごぼう天うどん」なるメニューはさぬきにはありませんが、このごぼう天というのは、九州では代表的なトッピングのひとつで、どこのうどん屋さんに行っても大抵あるそうです。さしずめ、このごぼう天はさぬきでいうと、「飯蛸の天ぷら」か「昆布の天ぷら」みたいな位置づけでしょうか(独断あり?)。
でてきたごぼう天は、きんぴらごぼうの掻揚げみたいに、ぱりぱりしていてとってもおいしい。しかも、うどんは噂どおり、ソフトでほんのり甘味があって、おつゆもなかなかいけます。これで 250 円なら、朝から行列ができるのも、また一日 1000 人が押し寄せるというのも、わかる気がする。
満足した後、再度メニューを見て疑問がひとつ。屋号を冠した「大力うどん」がメニューの左端にありますが、その値段がなんと 750 円也。この場違いな価格のうどんが何であるのか、かけうどんやごぼう天うどんからは想像できません。まさかでかい松茸がまるまる一本入っていることもないでしょうけど、残念ながらこの「大力うどん」の正体、そして一日何杯売れるのか聞くの忘れました。
「ここは俺がごちそうする!」という太っ腹なNちゃんがレジで支払っているとき、奥をのぞくと、古いロール製麺機が見えました。と言っても、五列ではなくて、ロールの数からすると三列くらいかな。ここの大力うどんは、この年代物のロール機で延ばされ、多分切刃(きりは)によってうどんにされているんだなと、想像しました(多分)。包丁切りが主流のさぬきのうどん屋さんでは、あまり見かけない光景ですが、十分に練って熟成させると、ロール機製麺でも手打ちに負けないうどんができることを改めて実感しました。