#081 小麦粉の色
小麦粉の色は、一般には漠然と「白色」ということになっていますが、実際はそうではありません。片栗粉と並べてみると、小麦粉がいかに色がついているか、また片栗粉がいかに白いのかがよくわかります。小麦粉の色は、どちらかというと淡黄色あるいは淡いクリーム色をしています。また同じ小麦粉といっても、小麦粉でも色々違います。小麦粉の色を決める要因は、ざっと次のようなものがあります。
1) 小麦の種類
硬質小麦は表皮が赤褐色なのに対し、軟質小麦は明るい色をしています。このため硬質小麦は、「赤小麦」、軟質小麦は「白小麦」とも言われます。詳細については、小麦の種類をどうぞ。で、小麦の胚乳の違いもあるし、また製粉時にはどうしても、ある程度の表皮の混入は避けられないので、同じグレードの小麦粉であれば、強力粉よりも薄力粉の方が、白くなります。
2)グレード
同じ種類なら、グレードの高い小麦粉の方が白くなります。詳細は新着情報#54をどうぞ。
3)粒度
小麦粉の粒の大きさ、つまり粒度が小さい程、光が乱反射するので白く見えると言われています。
4) 鮮度
小麦粉の色は、鮮度によっても違います。つまり製粉してからの経過時間によって、小麦粉の色は変化します。
このように小麦粉の色の違いについては、いくつかの要因がありますが、今回はその中の鮮度に着目してみます。小麦の胚乳にはカロチノイド系色素が含まれていて、挽きたて、つまり製粉したての小麦粉はこのカロチノイドが発色して、淡黄色あるいは淡いクリーム色を呈します。これはただ眺めるだけよりも、ペッカーテストをしてやるとよくわかります。つまり、小麦粉をガラス板に「ぎゅっ」と押し付け、水につけてやります。こうやって水にさらされた色というのは、実際のうどんの色にも近くなるので、やってみることをお勧めします。
ただ、挽きたての特徴である淡黄色も、時間が経過するにつれて薄れて、だんだんと白くなります。これは、小麦粉が空気にふれて、酸化するためです。では実際にこの違いを確認してみましょう。小麦粉Aは2006年11月28日に、また小麦粉Bは2007年2月2日に製粉したもので、これらを2007年2月3日にペッカーテストしました。つまりAは挽いて2ヶ月経過したもの、Bは挽きたて(厳密には2日後)の小麦粉です。
この古い小麦粉Aと新しい小麦粉Bを、ABABAの順番でサンドイッチにしたペッカーテストが次の画像です。このように並べた理由は、単に左右に並べるだけでなく、交互にした方が色の対比がよくできるからです。
結果は一目瞭然で、挽きたての小麦粉は、淡黄色であるのに対し、2ヶ月経過したものは、かなり漂白されているのがわかります。百聞は一見にしかずで、「淡黄色は新鮮さの証」であるというのがよく実感できます。ですから、みなさんも手打ちうどんを打つときは、できるだけ新しい小麦粉を使ってください。すると、淡黄色の「ぷりぷり」したうどんが賞味できます。
最後に余談ですが恥を忍んで申します。この淡黄色は「たんこうしょく」と読みますが、今の今まで「たんおうしょく」であると信じて疑いませんでした。思うに、緑黄色野菜は「りょくこうしょく」ではなく「りょくおうしょく」と読むので、勝手に思い込んでいたのかも知れません。これまで何度「たんおうしょく」と言ったことか(恥!)。他にも、普段自信満々で使っている間違い言葉がたくさんあるんだろうな、きっと。みなさんもどうかお気をつけください。