#101 うどん屋さん開業時期と成功のポイント
朝夕は、少し気温が下がってきたような気がするけど、日中はまだまだ暑いですね。この夏休みも、さぬきのうどん屋さんはどこも大盛況で、今やうどんブームはすっかり定着した感じです。ところで、今まで全然意識したことなかったけど、ふと疑問に思ったこと:「うどん屋さんの開業時期というのは、一年のうち、どの季節が多いのだろう?」。
年度初めだったら4月だし、食欲の秋なら9月か10月かな、それとも季節には関係なく、年がら年中思い立ったときに開業しているのかもしれない。でも、「ひょっとしたら、夏が多いのかもしれないな」、と最近思うことがありました。というのは、相前後して3軒のうどん屋さんから、「開店してから無事○周年を迎えることができました」という連絡をもらったからです。
うどん屋さんを始める動機は、みなさん様々で、脱サラで始める方もいるし、うどんが本当に好きで若いうちに始める方もいます。でも、残念ながらみなさん、ずっとうどん屋さんを続けられるわけではありません。むしろ続けられるのは少数派かも知れません。そして続けられるかどうかの最初の関門は、一周年を無事迎えられることで、ここを乗り切れば、そのまま突っ走れる可能性が大きくなります。だから「○周年を迎えました」と聞くと、嬉しく、正直ほっとします。
で、話は戻りますが、わざわざご連絡をいただいた、うどん屋さんは次の通りです。それぞれ地元では人気店で、ぐぐるとたくさんヒットするので、みなさんも検索してみてください。
①東京のエン座さん めでたく5周年 詳細は例えばこちら
②東京の野口製麺所さん めでたく3周年 詳細は例えばこちら
③新潟の入船うどんさん めでたく2周年 詳細は例えばこちら
うどん屋さんに限ったことではありませんが、うどんを打つのが上手なだけで、成功するとは限りません。出汁とりも大切だし、接客態度は言うに及ばす、整理整頓などなどありとあらゆるものが総合的に判断されて、うどん屋さんの評価は決まります。だから、うどんは最高にうまくできているけど、そんなに流行ってないとか、逆にうどんそのものは特徴はないけれど、なぜか流行っているお店というのも、中にはあります。
また、うどんひとつとってみても、みなさんそれぞれの流儀でつくっています。最近、そのうどん作りの違いが余りに極端だった事例があったので、報告しておきます。Aさんといううどん屋さんは、すべて手作りにこだわっています。水回し、捏ね、延ばしなどは全て手作業、つまり正真正銘の純手打ちです。だから一日に打てるのは、70~80人分が限界だといいます。それ以上は肩がパンパンになってしまうし、夫婦二人でやっているので時間的にも無理だそうです。それに、出汁にしても化調(化学調味料)は一切使わず、すべて素材からとります。
化調を使っても、おいしい出汁はできます。けど、素材からとると、味がシャープになって素材の味が引き立ち、化調ベースの出汁との差は、一目瞭然です。うどんも手延ばしなので、グルテン繊維が縦横無尽に形成されて、コシのある、そして小麦粉の旨みのあるうどんができます。だから、そのお店で食べるうどんというのは、かかった手間暇の結果なので、当然おいしくなります。ここまでは何の問題もない、普通で自然な話です。
ところが、先日お話を伺ったBさんなるうどん屋さんは、まるっきりこの対極にあります。うどんは全て、製麺機でつくります。ボタンを押すと、ミキサーが捏ねてくれて、ローラーが延ばしてくれて、カッターが切ってくれて、後はそれを沸騰している鍋に放り込むだけです。更にふるっているのは、出汁で、それはお醤油さんからだし醤油を取り寄せ、それをお湯で延ばすだけなんです。しかも「かけ用」、「ざる用」、「ぶっかけ用」、・・・とそれぞれ専用のだしを用意しておき、注文が入ったら、それぞれの出汁を取りだして、お湯で延ばすだけです(まいった!)。
でも、それで十分に平均点以上のおいしいうどんができ、お店は流行っています。ご主人曰く、「自家製だと、どうしても作り置きすることになり、そうなると最後の方は味が変わることもある。でもお湯で延ばすだけなら、注文が入ったときだけ、必要な分だけつくればいいので、いつも同じ味が再現できて便利だ。なまじっか自分で作るよりもよほど安定している」。なるほど、こういう考え方もあるんだと得心しました。じゃあ、Bさんはそれ以外は何もしていないかというと、そうではなくて、店内は自分で改装したり、うどん以外のものとの組合せメニューを考えたり、結構自分で色々アイデアをだしながら、やっています。
だから、繁盛しているお店にも色んなパターンがあって、お話を聞いていると、「なるほど」とうなずくことばかりです。ただ皆さん、それぞれやり方は異なるけれども、お店のことを想い、時間を惜しまず努力しているところが共通点かな?