#103 冷凍保存した生うどんのゆで方
久々のうどんテイスティング。別にやってないわけではないんですが、なかなかまとめられずに申し訳ありません。今回は、ゆでる前のうどんを冷凍保存したとき、「解凍方法の違いは食感に影響するか?」がテーマです。
うどんは、打ち立て、ゆでたてがおいしいのは、みなさん百も承知ですが、家庭でうどんを打つと、一度には食べきれないし、かといってゆで置きは厳禁です。だからゆでる前の「生うどん」の状態で、冷蔵保存するのはひとつの方法です。でもうどんも生ものなので長く保存していると、ゆでた麺に張りがなくなったり、まただんだんとくすんできたりして(新着情報#80)、元気がなくなってきます。そこでもう一つの有効な手段として冷凍保存があります。これだと、少々時間が経っても打ち立ての状態を保存できます。
じゃあ「冷凍保存したときの賞味期間はどの位か?」かというのも興味深いテーマではありますが、今回は、「解凍方法の違い」が、うどんにどんな影響をあたえるのか検証してみました。以下、その結果。
比較方法:
生うどんを2週間冷凍し、そのままゆでるのと、自然解凍した後、ゆでるのとでは差があるかどうか、比較してみました。つまり:
(A)冷凍庫から取り出し、凍っている状態で、沸騰しているお湯にいれてゆでる。
(B)冷凍庫から冷蔵庫に移動させ12時間後、つまり自然解凍し、生うどんに戻った状態でゆでる。
ゆでた結果:
外観:
(A)は鮮やかな淡黄色であるのに対し、(B)は気持ちくすんで見える。同様に(A)は艶があるが、(B)は少し張りがないように見える。また(A)は(B)より太くみえる。
食感・食味:
(A)は弾力があるのに対し、(B)はちょっと乏しいな。またぷりぷりしていて血色も良いせいか、(A)の方がおいしく感じた。
総合評価:
そもそも「解凍してからゆでた方がいいかも!」と思ったのは、冷凍した麺をそのまま鍋に入れると、一気に湯温が下がり、再沸騰までの時間が長くなるというのが理由。だから予め、解凍しておけばその分、再沸騰までの時間が節約でき、うまくゆであがるのではないか、と考えた。しかし、結論から言えば、明らかに(A)が全てにおいて勝った。再現性の有無はどうかみなさんで試してください、お願いします。
考察:
沸騰している鍋にいれたところ、興味深い違いがひとつありました。 (A)はお湯が再沸騰したら、すぐにうどんが浮き上がってきたけど、(B)は再沸騰後も鍋に沈んだままで、浮き上がるまでに数分かかった。理由は次のように考えることができます。カチンカチンに凍っていたうどんも、フリーザーからだして数時間すると「ふんにゃり」するので、この時点で既にかなり解凍されていると考えることができます。だから生地中にたくさんあった小さな気泡も、この時点から徐々に抜けていき、生地がだんだんと締まってきます。だから生地の密度が大きくなり、お湯が再沸騰しても、うどんはすぐには浮いてこないのではないかと・・・。
一方、(A)は打ち立て後、直ちに冷凍したので、気泡はそのまま閉じこめられてしまい、再沸騰後は、早く浮き上がってきたと考えます。つまり、打ち立てのうどんをそのままゆでるのと同じことです。また(A)の方が太くゆであがったと感じたのも、同じ理由だと考えます。生地が締まりすぎると、なかなか膨らみません。余談ですが、生地も踏みすぎると、うどんが硬くなるので気をつけましょう。
それともう一つ。解凍が進むにつれ、そこからまた劣化が始まります。つまり解凍時間が長くなるほど、色がくすんだり、弾力がなくなったりするんじゃないか、想像できます。だから結論としては、冷凍したうどんは、多少湯温が下がろうとも、凍ったまま鍋に放り込むのがベストだと思います。みなさんも一度試してみてください。