#119 最新のオーストラリア小麦事情

先日、東京と大阪で、AWB(オーストラリア小麦局)より、最新の小麦事情についての説明がありましたので、簡単にご報告します。

ご存じのように2005年は大豊作(新着情報#019)で2,500万㌧の小麦が収穫されましたが、2006年は一転、大干ばつで970万㌧と平年の半分以下の作柄でした。そして2007年は、未曾有の二年連続の干ばつで、どうなることかと関係者はみんな「はらはらどきどき」でしたが、ようやく1,260万㌧の数量が確定しました。この数字は満足できるものではありませんが、それでも前年の970万㌧に比べると改善され、最悪の状況は回避されました。オーストラリアの国内需要は年間600~650万㌧といわれていますが、今年も日本向けは例年通りの85万tがようやく確保されたので、とりあえず今年は、一息ついた感じです

ところで現在、うどんなど和風麺用の原料小麦としてはASW(Australian Standard White)が余りに有名ですが、これは正確にはASW Noodle blend といい、現在は次の2種類の小麦(以前は数種類)がANW:APW=60%:40%の割合でブレンドされています。
①オーストラリア・ヌードル小麦    ・・・ANW(Australian Noodle Wheat)
②オーストラリア・プレミアム・ホワイト・・・APW(Australian Premium White)

ANWは一般的な麺用、そしてAPWは中華麺、インスタント麺、蒸しパンに合うということで、APWのタンパク質は、ANWのそれより若干多くなっています(品種の詳細などについて興味ある方はこちら(P13)をご参照ください)。

昨年末に2007年小麦の日本向けの出荷が始まったときは、まだANWの数量が未確定であったために、このブレンド比率が一時的に、ANW:APW=40%:60%と逆転していましたが、現在は通常通りの比率に戻っています。APWの比率が高くなるとそれだけタンパクが多くなるので、うどんが少し硬くなる傾向にありますが、量、質ともに例年通り確保でき、よかった。

最後に、それでは今年の作柄はどうかといいえば、東部は4月、西部は5月頃に作付けが始まるので、今はなんとも言えません。ただ、なんと東オーストラリアは最近、集中豪雨に見舞われ大きな被害がでました。今朝の新聞にも、エンシャムの石炭鉱山が冠水して出荷不能とのニュースがありました(被害に遭われた方々には謹んでお見舞い申しあげます)。そして皮肉なことに、これまでの干ばつで、からからに乾いていた土壌も、この集中豪雨のお陰で充分に湿度が回復し、作付けには最適な状態になっています。今後は、春以降適度な降雨量を期待するのみです。

で、気がかりなのはやはり高騰する小麦価格ですが、「なんとか落ち着いてほしい」、これが細やかな今年の抱負です