#131 武蔵野うどん巡礼・・・その①
鳴門うどんツアー(新着情報#127)の人たちと一緒に、武蔵野うどんに挑戦しました。武蔵野うどんはこれまでに、何度か食べたことがありますが(新着情報#033)、とろけるような鳴門うどんを経験した後だし、うどんに一家言ある人たちとのテイスティングなので、中身の濃いものになりました。また武蔵野の地で奮闘するさぬきうどん店もいくつか、併せて報告します。本当は廻ったお店すべて紹介したいのですが、残念ながら今回は、一部割愛させていただきます。
【予備知識】
「武蔵野うどん」については新着情報#30でも紹介していますが、どういうものか簡単におさらいしておくと:
1)地粉を使用。また白いうどんは基本的に不可で、くすんでいないといけない。
2)年がら年中、ざるうどんの形態で食べる。
3)つけ汁は、暖かく、少し甘めの肉汁(肉は必ず豚を使用)。
4)「糧(かて)」というゆでた野菜を一緒に添える。
①野口製麺所
武蔵野うどんツアーといいながら、ここは武蔵野うどんではなく、いきなりさぬきうどん。うどんの味を手っ取り早く知るには、なんてったって「釜揚げうどん」ということで、注文して待つこと暫し。でてきたのはなんと、さぬき以上に、風味、粘り、コシと三拍子そろった、ばりばりのさぬきうどんであった。さぬきでもこれだけのうどんには、なかなかお目にかかれません。ここは、なんと純手打ち、つまり水回しからすべて手作業である、ときいて然もありなん。
さぬきでは枕詞のように、なんでもかんでも「手打ちうどん」という言葉は使われていますが、大抵のところは、多少なりとも機械を使用しています。理由は、一杯150円といったお値打ち価格を実現するためには、製麺機械が不可欠だからです。でも機械製麺だからうまくできないかというと、そうではなく、要は使いようだと思います。話が逸れてしまいましたが、野口製麺所さんの詳細は、例えばこちらをどうぞ。
②武蔵野うどん「とき」
ここは有名な武蔵野うどんのお店で、以前からずっと気になっていましたが、今回念願叶い、やっと来ることができました。何がすごいかというと、以下智春くんとのやりとり:
智春:「『とき』はね、ゆで時間が極端に短いんです。この前、カウンターに座って測ったらなんと3分でした」
私:「そんな、あほな。さぬきでは普通15分、釜揚げでも最低10分はかかるで。ほんだら、うどんが細いんやろ?」
智春:「いいえ、普通に太いうどんです。よく観察してたら、2分半くらいのときもあるみたいですよ」
私:「そんなの、絶対煮えるわけないじゃん」
智春:「でも、大将は、うどんが浮き上がってきたらもういいみたいなこと、言っていましたよ」
ということなので、半信半疑、カウンターの前に座って計測してみると、なんとうどんを釜に投入してから、本当に3分かからずに打ち上げたのには、びっくりした。で、でてきたのが、白ネギと豚肉がつけ汁に入っている、定番メニューの肉汁650円也。でんぷんがまだ充分に糊化してないので、うどんが硬く、よって曲がったうどんがないのが、画像からも見て取れると思います。試しに箸でつまんで持ち上げても、まっすぐ伸びずに、針金のようなかんじです。
次に口に入れて噛んでみると、確かに硬い。剛性が高いので、なかなか啜ることができないけれど、ポッキーをかじるようにして食べると、すんなり口の中に入りました。生煮え(どうみてもそうとしか考えられない)なので、肝心の味はどうかというと、小麦の風味もするし、不思議なことに自然と箸が進み、うまいんです。
でも、こんな硬いの、年配者にはかなりきびしいだとうなと思って、周りを見渡すと、それが結構入っているし、「ゆで時間を長くしたら、反応がいまいちだった」みたいな話も聞いて、実に不思議なうどんでした。この食感と味がやみつきになっている方も多く、ちょっとうどんの概念が「ぐらっ」ときました。うどんって小麦粉、塩、水しか使ってないのに、ほんと奥が深いね。とっても勉強になりました。