#132 武蔵野うどん巡礼・・・その②

③本格手打うどん・あらた
ここは、ご夫婦でやっている讃岐風の純手打ちうどん。2年前、東京からのさぬきうどん巡礼のグループ(新着情報#060)にお二人で参加して、それっきりだったので、是非お伺いしたいと思い続けていたうどん屋さんでした。「あらた」は八王子駅から歩いて数分のところにある、こじんまりとしたお店です。例によって釜揚げうどんをお願いすると、程なくしてでてきたのは、実に上品なうどんでした。
武蔵野うどんとは明らかに違う、透けるようなうどんですが、小麦の風味が感じられ、しかもさぬきうどんのもっちり感もあります。さぬきの人間としては、ばりばりの武蔵野うどんの後では、こういったうどんに出会うとほっとします。

さぬきうどんは、コシが強いとか、時には硬いといった声も耳にしますが、そんなこと全然ないのよね、本当は。「この出汁、ほんまに上手にとっとるわ。とってもシャープで上品で、こりゃ一本とられたわ」とは、徳島からきたまもるちゃんの感想。あらたに興味ある方は、こちらをどうぞ

④手打うどん・さわだ
すばり今回の武蔵野うどんツアー、グランプリはここ「さわだ」でした(実は2軒しかいってないけどね)。「とき」も捨てがたいが、ロケーションとか店舗のユニークさなどを加味するとここになるかな、やっぱり。練馬から車に揺られ、関越自動車道を北上しながら、「こんなとこに何があるんやろ?」と最初は訝しがっていましたが、確かにわざわざ行くだけの価値のあるお店でした。話題満載、いったい何から説明しようか迷うけど、例によって思いつくままに。

注文をオーダーすると、案内されたのはなんとステージ付きの座敷でした。ステージには、セルフの煎茶が用意されているんですけど、この雰囲気が何とも言えずホッとするなぁ。ここは郵便屋さんの休憩所にもなっていて、昼食後はここで大の字になります。で、程なくしてでてきたのが、もりうどん(並)+肉汁(50円)=450円也。肉汁を別途注文すると、つけ汁の中に豚肉が入ってきます。並といってもかなりの量で、これで450円とは、都内ではまずあり得ない良心価格です。

さあ食べようという段になって、徳島のまもるちゃんが、うどんとざるの間に敷いてあるラップをみて、「こんなの、あり得んよなぁ~」と激しく反応しました。単に滴が垂れるのを防ぐラップにしか見えないけど、まもるちゃんはその位置がおかしいと言い張るんですね。つまり、ラップがうどんとざるの間に敷いていると、ざるの意味がないので、ざるの下に敷くべきだというのが、まもるくんの主張です。まあ、言われてみれば確かにそうですけど、自分は、別にどっちでもええけどね。

で、肝心のうどんは、掛け値なしにすばらしい。出汁は、典型的な肉汁で、ほどよい甘さでうま味も申し分ない。うどんは、多少硬めにゆで上げているものの(というか、これがここの特長かもね)、小麦風味充分で、あっという間になくなりました。後で、「ゆで時間どのくらいですか?」と聞いたところ、「浮き上がってから4~5分かな?」というお返事だったので、5~6分あたりか。13~15分が標準的なのさぬき感覚からすると、かなり硬めにゆであがっています。でも武蔵野うどんといっても、充分に時間をかける「もっちり系」もあるそうなので、今回はたまたま「しっかり系」だったのでしょう。

帰り際、裏の作業場でうどんを打っているのが見えました。延ばし工程では全国的にもめずらしい竹を使用していて、麺棒で延ばした生地を屏風たたみにし、それを上から竹で軽く押さえているところでした。こうすることによって、生地に軽い凸凹ができ、これが「さわだ」特有の不揃いな縮れたうどんの理由でしょう。製麺機械にも波ロールといって、ロールの形状が波形のものがありますが、同じ効果を狙ったものです。それにしても「さわだ」のうどんはよかった。また行きたい。