#137 さぬきうどんの生産量(2007年度版)
さて昨年のさぬきうどんの生産量が発表されたので、ご報告します。表の見方については、新着情報#65や新着情報#88をご参照ください。最新版で気がつくのは、2003年に異常な伸びを示したあと、減少傾向だったさぬきでの生産量もほぼ下げ止まった、ということでしょうか。食の多様化の波に押され、全国的には減少傾向にある中での、60000㌧維持はなかなかがんばっているし、今後はこの6万トンの大台は何があっても死守してほしいところです。
うどん生産量の推移
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年次 | ゆでうどん | 生うどん | 乾燥うどん | 香川計 | 全国計 | 占有率 |
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1980(S55) | 8247 | 2160 | 6468 | 16875 | 289895 | 5.8% |
1985(S60) | 8165 | 4106 | 6958 | 19229 | 302023 | 6.4% |
1989(H1) | 12518 | 7119 | 7202 | 26839 | 301789 | 8.9% |
1990(H2) | 15856 | 7646 | 7031 | 30533 | 302643 | 10.1% |
1991(H3) | 19961 | 12049 | 7329 | 39339 | 314188 | 12.5% |
1992(H4) | 21742 | 10550 | 7425 | 39717 | 319329 | 12.4% |
1993(H5) | 24465 | 717 | 7694 | 40876 | 319086 | 12.8% |
1994(H6) | 25771 | 7666 | 8968 | 42405 | 317022 | 13.4% |
1995(H7) | 26477 | 7695 | 8388 | 42560 | 313607 | 13.6% |
1996(H8) | 28332 | 7713 | 9187 | 45232 | 312640 | 14.5% |
1997(H9) | 29521 | 7260 | 8722 | 45503 | 301155 | 15.1% |
1998(H10) | 30705 | 7700 | 8418 | 46823 | 294722 | 15.9% |
1999(H11) | 32935 | 7237 | 7756 | 47928 | 291837 | 16.4% |
2000(H12) | 33107 | 7999 | 8502 | 49608 | 300271 | 16.5% |
2001(H13) | 36856 | 8979 | 7247 | 53082 | 301408 | 17.6% |
2002(H14) | 38268 | 9610 | 8877 | 56755 | 295341 | 19.2% |
2003(H15) | 42134 | 12032 | 12819 | 66985 | 303475 | 22.1% |
2004(H16) | 40514 | 11840 | 12880 | 65234 | 294875 | 22.1% |
2005(H17) | 39796 | 9766 | 12091 | 61653 | 285375 | 21.6% |
2006(H18) | 40087 | 8539 | 12034 | 60660 | 278501 | 21.8% |
2007(H19) | 39192 | 9248 | 12210 | 60650 | 272883 | 22.2% |
ところで、この統計データの数字について以前からちょっと気になっていたことがあります。それは、日本全体で製粉される小麦の量と実際の統計データに現れる数字との食い違いです。皆さん、小麦粉の種類は強力(きょうりき)、中力(ちゅうりき)、薄力(はくりき)の3つに大別されるのはご存じのことと思います(まだの方はこちら)。うどん、そうめん、ひやむぎといった和風麺には、主として中力粉が使用されます。そして中力粉の原料といえは、オーストラリアから輸入されるASW85万トンと国産小麦85万㌧の合計170万トンで、歩留りを60%とすると麺用に適した中力粉は約100万トン製粉できる勘定になります。
一方、農水省が毎年発表している統計データによると、平成17年度では、干しうどん、そうめん、ひやむぎ、手延そうめんなどの乾麺には、21.3万トン、生うどん・ゆでうどんには25.9万トンの合計47.2万㌧、つまりざっと50万トンの中力粉が使用されています。では、この差の50万トンはどこに消えたのか?で、ようく考えてみると、中力粉は、一部和菓子にも使用されているし、また現在のところ国産小麦が割安なこともあるので(理由は割愛)、増量剤として他用途に流れていることが影響しているのも事実でしょう。
しかし50万㌧と100万㌧といえば、倍、半分で、差はあまりに大きすぎる気がします。そこで、実際にそのデータを集計している出先機関に話を聞いてみたところ、どうもこのデータの中には、小規模事業所での使用量は含まれてないようです。具体的には、ここ香川県においては、今のうどんブームの牽引役となった、うどん専門店とか小規模な製麺所などは、小麦粉使用量が少ないので、ほとんど抜け落ちているようです。そこで、そういった小規模事業所での使用量はいったいどのくらいなのか、以下全くの概算ですが、試算してみました。
さぬきにあるうどん店は現在のところ、色々な情報を基にすると900店前後と言われています(例えばこちら)。その内、S級といわれている超繁盛店は、休みとなると一日2000人は来店します。また、普通のお店でも一日200~300玉はでているはずです。というのはさぬきうどんは高額商品ではないので、このくらいの量を販売しないと経営的に厳しいからです。つまり業務用小麦粉1袋(25kg入=200~300玉換算)あたりが営業上の一つの目安になります。
で、ここからは非常に荒っぽい概算になりますが、仮に1店で1日1袋使用したとしたら、1年では、
25kg×900(店)×365(日)=8,212.5㌧≒1万トンとなります。実際には、一日に何袋も使用しているうどん店が数多くあるので、統計には現れない小麦粉は少なくとも年間1万トンはあるんじゃないか、っと推定します。