#138 さぬきうどんお接待
あれは去る4月の25日のことだった。彼から突然、電話がかかってきて、「明日四国に入るので、寄ってもいいですか?」というので、「いつでもいらっしゃい」と答えた。彼の名は小川隆治。神奈川のとある会計事務所で働いていたけど、うどん好きが高じ、この度脱サラして自身のうどん店を始めることになりました。お店の場所は彼の故郷である新潟県上越市、店の名は鶴越製麺所。
何でも、この6月の開店を前に、「ぜひさぬきでうどん修行の仕上げをしたい」っと。具体的には、このGWを挟んだ2週間、お遍路さんの接待所を廻りながら、手打ちうどんを無料でお接待したいという、非常に奇特な心構えでやって来ました。そして、うどん接待も最終日を迎えた5月8日、坂出市加茂町の「歩きへんろ・加茂駅」にてその奮闘振りを覗いてきました。
24時間前に仕込んだといううどんは熟成ばっちりの、文句なしのうどんで、ぶっかけと釜だしの二杯をごちそうになりました。食感もさることながら、小麦の風味がぷんぷんで、箸の進むうどんというのは、やっぱりこんなカンジかな、と思います。それにしても箱バンに人生を詰め込み、うどんを打ちながら、また野宿しながらの2週間、彼の生活を支えているのは、うどんに対する情熱でしょうか。
そういえば、前にもこんな青年がいました。そうそう、全国縦断しながらうどん修行中の「さすらいのうどん職人(新着情報#108)」竹原友徳くん。彼のうどん修行も現在、沖縄での長期滞在を終えて鹿児島に戻ってきたあたりです。それにしても、皆さんずっとうどん打っていると、無性に旅がしたくなるんですかね。
小川隆治さんは、この後修行先であった「あづまうどん」に行き、大将にお別れの挨拶をすませ、いよいよ新潟に戻ります。ラーメン激戦地といわれている新潟の地で、どうかさぬきうどんを根付かせてほしいと願わずにはいられません。鶴越さん、がんばってね。