#140 天ぷらうどんの自給率
天ぷらうどんってどこでできるか知っていますよね。もちろん、うどん屋さんではありますが、元をたどれば、その原材料の多くは、輸入に頼っています。エビ、大豆は95%以上、小麦は85%が輸入です。そこで、天ぷらうどんの自給率っていったいどの位なのか調べてみました。
食料自給率とは、国内の食料消費が国産でどの位まかなえているかを示す指標で、普通はカロリーベースで計算します。現在、日本の自給率は、みなさんご存じのように先進国の中では、ぶっりぎりの最下位で、僅か39%にしか過ぎません。しかもこれは自給率100%のお米を含んでの数字なので、お米以外の自給率がいかに低いか想像できるでしょう。
で、天ぷらうどんの原材料を細かく調べるときりがありませんが、ここでは手っ取り早く、農水省のHPにある「クッキング自給率」という料理自給率計算ソフトを使ってみました。これを利用すると「天ぷらうどんの自給率は、22%」と一発で答えが返ってきました。これを高いとみるか低いとみるかは判断の分かれるところですが、詳細は次の表の通り。
材料名 | グラム数 | カロリー/100g | 消費カロリー | 自給率 | 国産カロリー |
---|---|---|---|---|---|
かつおだし | 300g | 3kcal | 9kcal | 94% | 8.5kcal |
ゆでうどん | 250g | 105kcal | 263kcal | 13% | 34kcal |
あまえび | 60g | 87kcal | 52kcal | 5% | 2.6kcal |
本みりん | 27g | 241kcal | 65kcal | 95% | 62kcal |
しょうゆ | 27g | 71kcal | 19kcal | 0% | 0kcal |
天ぷら粉 | 12g | 349kcal | 42kcal | 13% | 5.5kcal |
たまご/全卵 | 8g | 151kcal | 12kcal | 11% | 1.3kcal |
なたね油 | 6g | 921kcal | 55kcal | 0% | 0kcal |
ねぎ | 5g | 29kcal | 1kcal | 86% | 0.86kcal |
518kcal | 115kcal |
ここで簡単に表の見方を簡単に説明をしておきます。天ぷらうどんには9種類の材料が使用され、例えばこのうちゆでうどんは250gでこれは263kcalになります。一方、小麦の自給率は13%なので、国産でまかなえるカロリーは、263×0.13=34kcalとなります。このように全て平均的な材料を使用して、てんぷらうどんを作れば総カロリーは518kcalになり、その中の国産カロリーは115kcalとなるので、カロリーベースの自給率は115÷518×100%=22%となります。これは全体の自給率40%の約半分にしか過ぎません。
もう少し詳しく見てみましょう。甘えびはベトナムやインドネシアといった東南アジアからの輸入が95%を占めていて、国産はほとんどありません。醤油に至っては主原料の大豆がほぼ全量輸入に頼っているので、自給率はなんと0%として計算されます。最近日本食ブームで、醤油は海外での普及が進んでいますが、元をたどれば原材料はすべて海外からというのは、ちょっとショックです。
本みりんは主原料の餅米がほぼ国産なので、自給率が高くなっています。材料別にみて、自給率が80%を越えているのは、かつおだし、本みりん、そしてねぎの3種類ですが、貢献しているのは本みりんの62kcalで、これによって自給率はかろうじて20%以上になっています。もし、本みりんを使用せず、化学調味料で代用すれば、天ぷらうどんの自給率は10%程度に落ち込む可能性もあります。
また卵の自給率は11%とありますが、これはちょっと低すぎると感じるかもしれません。だって、ほとんどの卵は全国の養鶏場で生産されているからです。でもこれにはもちろん理由があります。実は、家畜を育てるのに必要なえさである飼料の大半は輸入に頼っています。そして肉・卵・乳製品などについては、輸入したえさを使って生産された分はカロリーベースの自給率には算入されません。そのためにカロリーベースの自給率は牛肉12%、豚肉6%、鶏卵11%、乳製品28%とかなり低くなってしまうのです。