#154 うどんテイスティング: ASW vs. 「さぬきの夢2000」 vs. 筑後産石臼挽き
2008年9月11日、気温30℃
①:ASW100%
②:さぬきの夢2000
③:筑後産石臼挽き
準備作業
すべて塩度13%、加水率43%で練りました。43%といえばやや低めですけど、以前「低加水&長期熟成」でやったところしっかりした味の濃いうどんができたので、もう一度挑戦することにしました。粉の手触りは、①はサラサラ。②は粒度が小さいせいか、①に比べると気持ち手にくっつく感じ。③はいかにも「内麦を石臼挽きしました」といった小麦粉で、粉がねっとり手にまとわりつく感触でした。尚、この筑後産石臼挽きは岡山在住のMOONちゃんが、先日九州にうどんツアーにいったときのお土産だ、といってわざわざもってきてくれました(謝謝!)。
生地での比較
午後3時過ぎに作業開始。水回し後、そぼろ熟成を15分間とり、足で適当に踏んでから、一晩冷蔵庫の野菜室で熟成。翌朝取り出し、常温で2時間放置した後、延ばし作業。言うまでもないことですが、冷蔵庫から取り出した直後は生地が硬いので必ず常温に戻します。温度が高すぎると生地がだれてしまいますが、逆に低すぎるといくら時間をかけても熟成しないのでお気をつけください。画像は延ばす直前での比較。①ASWはやはり一番鮮やかです。②「さぬきの夢2000」は挽きたての影響もあるのか、淡黄色の冴えが印象的でした。③は石臼挽き故に、ふすま片の混入が避けられず、くすんだ色になりますが、これがそもそも石臼挽きの特徴のひとつです。
食味試験
製粉、製麺、営業の5人でテイスティング。①はやはりキレがよくASWの特徴がよくでています。最近のASWは一昔前と比べたんぱく質量がかなり多くなっていますが、別に硬いという感じではなくしっかりとした食感に仕上がっています。独特のシコシコ感というかコシは、一口噛んだだけでASWであるとわかります。グルテン充分なので、作業性、安定性は文句なしの#1。作業性良好、見た目も優秀、そして味も良いという三拍子揃った小麦なので、うどん屋さんにとっては安心して使える銘柄です。
一方、②は①ほどの「しっかり感」はないものの、このあたりは個人の好みで分かれます。ただ味の良さでは②が優れているというのが衆目の認めるところでした。実際、その日持ち帰り自宅でテイスティングしたA君も「②がうまかった」との感想だったので、その通りだと思います。作業性、食感、味といった重点項目のどれを優先させるかで、小麦粉の選択が変わってきます。
③はかなり特徴的なうどんです。「石臼挽き → ふすま片の混入 → 色がくすむ」のでどうしてもこういううどんに仕上がります。噛んだとき、ずっしりくる食感は、明らかに①、②とは異なります。団子汁を連想させるような懐かしい味は、目指すうどんが明らかに違います。このあたりも好みが分かれるところなので、それぞれが判断するしかありません。
同じ小麦粉でも打ち手によって違ううどんができます。また逆に今回のように、同じ条件で作っても、小麦粉によってかなり特徴的な差がでます。単純なうどん、というか単純だからこそそれだけ色々なうどんができるのかな、っと。