#163 今時の小麦製粉⑥・・・篩(ふるい)工程
ロール機を通過したストックは、大きさがばらばらになっているので、篩工程に送られ粒度別に分けられます。このとき使用されるのがシフターと呼ばれる篩機(ふるいき)です。よく料理で小麦粉を使う前に篩にかけますが、シフターの原理もこれと同じです。ただ規模が大きいのと、一度に何種類にも篩分ける点が違います。シフターは大きな箱の中に網が入っていて、それを水平方向に回転させることによって、上から落ちてきたストックを、粒度別に篩分けます。
箱の中には何十枚もの網が、目の粗い順に上から並んでいて、ストックを4~6種類に篩分けます。つまり入口は1つで、出口が4~6つあります(新着情報#053)。例えば当社では、1Bロールを通過した小麦は、最初5つに篩分けます(新着情報#161)。また工程中は篩うストックの数が多く、一つひとつのストックを別々に篩っていたのでは効率が悪いので、普通は6つもしくは8つのストックをまとめて篩うようになっていて、それぞれ6室シフター、8室シフターとよばれています。次の画像では6室シフターが2つ並んでいます。それぞれ片側しか見えませんが、反対側にも同じように3室あり、上から落ちてきた6種類のストックを同時に篩分けます。
製粉工場では稼働中は絶えず振動していますが、これはシフターの回転が主な原因です。シフターには篩の効率を上げるためにおもりがついていて、これが高速で回転するので横揺れがおきます。特に 当社のような木造製粉工場では、窓の桟はいつも「キュッキュッ」と軋んでいますが、これは工場が正常運転している証で、これが止むとどこかが故障して操業がストップしたということがわかります。シフターを通過したストックの行き先は次の4通りがあります。
(1)上がり粉として処理されるもの。つまりこの時点で小麦粉になります。
(2)別の挽砕工程、つまり他のロール機で更に挽砕されます。例えば、1Bロールを通過したストックで一番粗いものは、2Bロールにいきそこで再度破砕されます(新着情報#161)。
(3)ストックの量が多いと、一度に篩いきれないことがあります。そのときは更に別のシフターに送られ、そこで再度篩分けられます。例えば1Bを通過した4番目のストックは、1Gシフターに送られそこで再度篩われます。
(4)セモリナ(胚乳の粒)を中心としたストックは、次に説明する純化工程にすすみます。例えば1Bを通過したストックのうち、2番目、3番目はセモリナが中心なので純化工程へ進みます。