#174 穀物の量り方・・・俵・斗・升
米でも麦でも、今は秤(はかり)で重さを量りますが、昔は桝を使い体積で量っていました。天秤でいちいち釣り合わせるのは、何とも面倒であるのに比べ、桝なら上からさっと棒で表面を平すだけで簡単に量れたのが理由だと考えます。ただ体積を基準にすると、同じ小麦であっても、実の詰まっているものと、すかすかのものでは全然重さが違ってきます。現在では大問題になるところですが、ゆったりと時間の流れていた昔は、これで全然問題なかったんですね。
昔の度量衡を復習しておくと:
1俵(ぴょう) = 4斗
1斗(と) = 10升
1升 = 10合
となり1升は1.8㍑なので1俵は72㍑になります。これに前回の結果を当てはめると次のようになります:
小麦の種類 | 1Lの重さ | 1俵の重さ |
---|---|---|
ホクシン(北海道) |
890g
|
64kg
|
ASW(オーストラリア) |
860g
|
62kg
|
一方現在は、米も小麦も1俵は60kgということになっていますが、これはきっと最初に「1俵の重さをいくらにするか?」とみんなで決めるとき、60kgが一番近くて切りが良かったのでしょう。
ところで昔の米屋さんには、一斗桝がありこれを使って量り売りをしていました(と聞いています。実際にこの目で見たわけではありません)。一斗桝も円柱状のものやサイコロ形があり、どちらも当然ですが18㍑入ります。ただこのとき、量り方次第である程度の増減は必ずあった筈です。例えば桝に入れながら「とんとん」叩くと中が詰んでくるので、売る方としては、できるだけそっと入れた方が得です。また桝を平らになぞる棒のことを斗棒(とぼう)といいますが、この斗棒も同じ理由で、できるだけ「そっと」引くのがベストです。
ただ中にはこの斗棒を全部引かずに、途中でとめてしまうこともあったようです。米屋のおっちゃん曰く「これがな、サービスなんや」っと。