#214 北海道みやげの乾燥うどん
知り合いのMちゃんが北海道旅行のおみやげにと、地元のスーパーで買ってきた乾麺のうどんをくれました。Mちゃんは、旅行にいくとおみやげは大抵地元のスーパーを物色して買って帰るそうです。もちろんNB(全国ブランド)商品ではなくて、地元のメーカーによる地域限定商品です。スーパーで購入する理由を聞くと、「スーパーで販売されている ⇒ 地元の消費者に支持されている ⇒ 良品を安く買える」ということだそうで、言われてみれば筋は通ります。っで、もらったのが北海道産小麦を使用した、乾燥うどん。もちろんおみやげは誰にでも乾燥うどん、ということではなくて、職業柄研究しなさいということで、特別にくれたんだと思います。
ゆでる前のうどんは、明らかに北海道小麦特有の、少しくすんだような白さです。麺の太さは、さぬきよりはかなり細めの、どちらかというと阿波半田手延べ素麺ほどの太さ(細さ?)です。さぬきだと「えぇ~、これがうどん?」と言われそうな感じですが、やっぱり地域地域によって、支持される太さがあります。ただこの太さなので、ゆで時間は乾麺ではかなり短めの8分で、これだと待ってる時間もあまり気になりません。
食味試験は3人でしました。最初に感じたのは、細いにも拘わらず噛んだときに強烈な弾性というか、はね返り感でした。というのは、麺用に使用される北海道小麦は、国産としては高タンパク質なのでこのような食感になるんじゃないかと考えます。もしこのような食感でもっと太くすればスパゲッティみたいになるかもしれないので、メーカーとしても食感、ゆで時間などを総合的に判断してこの太さになったのかも知れません。「こういう食感だと、この小麦は手延べ素麺に向いているかもしれんね」というのはあるテイスターの意見ですが、なるほど一理あります。いずれにしてもこの太さで充分に噛みしめはあるし、とってもうまくできています。
次に肝心のうどんの味ですが、これは小麦でんぷん特有の甘味が感じられるということで皆の意見が一致しました。一般論ですが国産小麦は外国産小麦に比べ色調は劣りますが、味は良い傾向にあります。うどんを評価する場合には、「コシ、コシ、コシ」っと食感重視の論調が目立ちますが、個人的にはうどんに限らず、食品は何でも味覚が一番重要であると考えています。食感だけのうどんだと、2、3日続けて食べると飽きてしまいますが、味がよければ毎日食べる自信があります。極端な話、スーパーのゆでうどんはゆであげてからかなりの時間が経過している「ゆで置きうどん」の典型ですが、中にはソフトでありながら小麦でんぷんの味をうまく引き出しているものもあります。独断ですけど、個人的にはそんじょそこらのうどん店のうどんよりもおいしいなと感じるものもあります。
ちょっと脇道にそれますが、もらった袋の裏面にうどんのオススメレシピとして「麻婆うどん」が紹介されているのが妙に印象的でした。説明書きには、「・・・温めたうどんに麻婆豆腐をかけるとおいしい麻婆うどんのできあがりです」とあります。確かに思わず試したくなるし、おいしそうだと思いますが、さぬきでは、うどん店のメニューでもスーパーのうどんでも麻婆うどんなるものは見たことがありません。「北海道名物といえばサッポロラーメン、石狩鍋、それにカニ、鮭、ししゃもなどの海産物、といったあたりまではポンポンでてくるけど、麻婆豆腐って聞いたことないなぁ。麻婆豆腐って、北海道の隠れた人気メニューなんだろうか?」と思わず自問してみました。
いずれにしても、おいしいおうどんで、同じうどんでもこういった方向性もあるんだと納得いたしました。おそるべし、北海道うどん。さぬきうどんも、その名前に胡座をかいてうかうかできないぞ、との思いを新たにしました。