#287 うどんテイスティング・・・岩手三色うどん
少し前のことになりますが、知り合いの佐々木さんから乾麺が届きました。同封のお手紙によると、5月のGWに香川県庁の県産品振興課が、東日本大震災の被災地支援事業の一環として、復興支援物産フェアを開催したので、そこでゲットしてきたとありました。会場には岩手、宮城、福島、茨城の4県からの物産を前に、黒山の人だかりができ、予定より一日早く完売となりました。思いはどなたも同じでしょうが、微力ながら復興に支援したいという皆さんの気持ちの現れかと思います。
で、話はうどんに戻り、佐々木さんが送ってくれたうどんは、「とろろうどん」、「黒米うどん」、そして「餅米うどん」の3種類です。どれもこちら讃岐では、普段お目にかかれないうどんばかりで、楽しみです。外観は、黒米うどんが紫色であるのに対し、他の二つは、普通のうどんと変わりません。ただ、どれも見た目が細く、これを見て「うどんだ!」と判断する人は、讃岐では少ないでしょう。どちらかと言えば「ひやむぎ」位の感じで、太さ一つをとってみても、かなり地域性の違いが感じられます。
目視で判断したところ、「とろろうどん」が#14(14番)、そして残りの二つが#12(12番)あたりでしょう。実際、裏面の調理方法をみると、前者は湯で時間が5~6分、後者は8~9分とあるので、その太さに合致します。ちなみに#◯◯というのは、番手を表し、一寸(30mm)の中に何本入るかを示します。例えば#10(10番)なら30÷10=3mmの太さになります。当然、数字が小さくなるほど太くなります。JAS規格では1.7mm以上のものがうどんとなるので、うどんで一番細いのは#16になります。興味ある方は新着情報#70をご覧ください。
さて実際にゆであがったうどんは、先ほどの袋の順番に並べて次の通り。明らかに黒米うどんは見た目が違います。で、独断ではありますが、簡単な試食レポートをまとめてみました。
とろろうどん・・・つるつると歯切れが良く、「つるつるもう一杯」のキャッチコピーに偽りなし。ただ原材料表示には「小麦粉・でんぷん・食塩・山芋粉」とあります。原材料表示は、使用原料の多い順に記載されているので、山芋粉よりもでんぷんの方が多く入っていることになります。よってこのツルツル感は、でんぷん(多分タピオカでんぷん)による効果も大きいと思います。
黒米うどん・・・少しソフトな感ですが、目をつぶって慎重に味わっても、黒米が入っているのかどうかは私には判別できません、というかそもそも黒米がどんな味なのか私自身よく分かってないことも理由かと思います。
餅米うどん・・・黒米うどん同様、餅米が入っているかどうかは、食味だけでは判断しかねます。ただリーンな感じがするので、これが餅米の影響かもしれません。というのは、小麦粉に含まれているグルテンには粘弾性があるので、小麦粉100%のうどんであれば噛んだ時に、その弾力によって跳ね返りを感じます。しかし羊羹のような食感、つまり少しオーバーに言うと、噛むとそのまま沈んでしまうような食感があるのでこれが、餅米の影響かもしれません。
以上3点どれもおいしく茹で上がりましたが、個人的な好みで言えば、とろろうどんが「つるつるしこしこ」で一番好きです。また食品を購入するときに重要なポイントの一つが価格ですが、今回の3点は、単純に重量当たりの売価で比較すると、「ととろうどん」の100に対し、餅米うどんと黒米うどんは208とかなり高価になります。黒米とか餅米といった原料を使用すれば当然原材料コストがアップするので、販売価格も高くなるのはやむを得ませんが、問題は実際に消費者の方々がそのあたりをどこまで評価してくれるかがポイントになると思います。