#299 うどんテイスティング・・・小麦粉100% vs. でん粉入りうどん

うどんは小麦粉から作るものと、昔から相場は決まっていますが、最近は食感改善(?)のためにでん粉(特にタピオカでん粉)を添加するケースも散見されるようになりました。個人的には、でん粉を入りうどんは好きではありません(といいながら、時々ブラインドテストで外れる自分が恥ずかしく、そして情けない)。理由は、単純で小麦粉以外のものが入ると、それだけ小麦の味が薄くなるからです。確かにでん粉を入れると、明らかに食感はもっちり系に変化しますが、個人的にはこれが食感の改善なのか、単なる変化なのかはよく分かりません。

食味の僅かな違いは、暫く食べ込まないと実感できないのに対し、食感の変化は、如実に現れるために、最初は新鮮に感じます。ても、二度目は当たり前になり、三度目以降は徐々に飽きてしまう、と感じることもあります。いつも思うことですが、「これって旨いんだろうか、それとも旨くないんだろうか?」と悩み始めたときは、大抵後者の方です。旨いときは、黙っていても自然と箸が進みます。よって食味試験でも、一番売れたうどんが美味しく、売れ残ったうどんが美味しくないことが多いようです。

ただ用途によっては、でん粉入りうどんが市民権を得ている市場もあります。例えば、コンビニに並んでいる多くの調理麺やスーパーのチルド麺は、ゆで上げ後かなりの時間を経過しているので、でん粉の力を借りて、食感を維持する必要性があります。時代の変化に伴い、販売形態も多様化し、よってうどんもその販売形態に応じて、小麦粉100%やでん粉入りといったものを使いわける必要性も、時代の流れかも知れません。

こうした背景もあって、最近は営業のU君もしきりに、でん粉入りうどんのことをプッシュします。で、とうとう断りきれずに再度「うどんテイスティング」をすることになりました。一口にタピオカでん粉といっても、その加工の方法の違いによって、様々なものがあるので(#279)、でんぷんの種類を決定する必要があります。試しにH、M、Yという3種類をそれぞれ小麦粉に加えて、でん粉入りうどん3種類をテイスティングしたところ、Hは柔らかすぎ、Yは硬すぎるので、Mがよかろうというのが衆目の一致するところとなりました。よって今回は(小麦粉100%うどん vs. Mでん粉入りうどん)のテイスティングになりました。

でん粉の色は純白なので、でん粉入りうどんは、小麦粉100%うどんに比べて、白く仕上がります。これは好みの問題ですが、少し淡黄色を呈する方が、うどんらしいと感じます。一般には小麦粉は白色ということになっていますが、でんぷんと並べると、でんぷんが如何に純白であるかにびっくりし、小麦粉の色がどうして淡黄色と言われるのかが納得できます(特にペッカテストした場合)。

さて今回は、営業のU君、製粉技術者のKさん、製麺担当のTさん、そして私の4人でうどんテイスティングをやりました。画像のように、小麦粉100%うどんは少し色が濃いのがわかりますが、実際にはこれが淡黄色、いわゆる小麦粉色で、でん粉入りはそれだけ白くなっているのがわかります。各自の感想は、U君とTさんは、でん粉入りが「もっちりしとって、ええような気がするわ」に対し、年配のKさんは、「儂はやっぱり小麦粉だけの方がええわ」と意見が分かれました。で、私は基本的には小麦粉100%ですが、でん粉入りも(でん粉の種類によっては)そんなに悪くもないかなあ、という優柔不断な感想になりました。

ただU君が強調するのは、釜揚げとか釜抜き(ゆでてる麺を直接、丼にとり、つゆをかける)なら小麦粉100%でもOKだけれど、一旦水で締めて、湯煎したときに違いがでる、っと。つまり小麦粉100%だと、湯煎したときに、麺が少し硬さが残るのに対し、でん粉入りはそのしなやかなが保持されているのでいいんじゃないかと。言われてみればそんな気がしないでもないですが、このあたりは食味や食感がビミョーに絡んでくるので、実際にはユーザー(うどん屋さん)に決めてもらうのが一番いい方法だと思います。