#326 讃岐のうどん店舗数は808店舗@2012.1.31
地元紙(四国新聞@2012.2.12))に、現在香川県にあるうどん店の総数は808店舗との記事がありました。これは2012年1月31日時点で、保健所に営業許可を申請している飲食店の中からうどん店を拾いだした数字です。実はこのうどん店舗数については、弊社でも興味があり、2003年に電話帳から数え上げたところ、852店舗ありました。また「さぬきうどん研究会」が1979年におこなった調査では979店舗のうどん屋さんがありました。更には1960年代には3,000~3,500のうどん店があったと言われています。このように他地域に比べ、ダントツにうどん屋さんが多いさぬきではありますが、近年は減少の一途を辿っています。
これは専門店でのうどんの消費量は落ちたからではありません。むしろ店頭での消費量は、瀬戸大橋開通後のうどんブームと相まって、県外からの観光客も増えかなり伸びたはずです。つまり店舗数が減少した原因は、店舗の大型化にあります。以前は家族だけで細々とやっていたうどん屋が主流でしたが、そういった店は徐々に姿を消しつつあります。以前もお伝えしましたが、彦江製麺所の廃業はうどんファンにとっては誠に残念でした。そして旧来のうどん店にとって代わりつつあるのが、比較的席数の多い、お盆を持って並ぶ大衆セルフのうどん店です。
最近は全国規模のうどんチェーン店だけでなく、県内資本のうどん店も多店舗化が徐々に進み、この傾向に益々拍車がかかりつつあります(#316)。もちろんどこも水準の高いさぬきうどんのお店ではありますが、ただあまりに似たようなお店ばかりになってしまうと、金太郎飴状態で個性がなくなり、うどん屋巡りの楽しさも半減です。店の外にでて、ぼーっと田んぼを眺めながらうどんを食べたり、薪で釜を沸かしたり、ネギを自分で切ったりと、そういったうどん店の多様性が魅力であり、支持されているのです。これからも県外からうどんツアーにやってくる巡礼者たちに、ワクワクするような体験をしてもらうには、何とか個人経営のうどん屋さんや従来からの製麺所に、頑張って気を吐いて欲しいと願わずにはいられません。
話は変わり、先日同じく地方記事に「多度津鍋ホルうどん」なるものが紹介されました。これは今から50年以上も前に多度津町で生まれた「ホルモン鍋うどん」、つまりホルモン鍋を食べた最後にシメでうどんを入れるようになったのがルーツです。多度津と言えば四国の鉄道発祥の地、ここには旧国鉄時代から車両工場があり、戦後の復興期には2000人以上が働いていたと言います。そして仕事帰りの労働者たちが「安くてうまいもん」をということでこの「鍋ホルうどん」が誕生したわけです。
それから50有余年の時が過ぎ、この度「B級グルメで多度津を元気にしよう」という街おこしイベントとしてこの「鍋ホルうどん」に白羽の矢が立ちました。さぬきうどんの多様性、活性化を図るという点では、大いに歓迎されるべきことであり、今後こういったユニークなうどん屋さんに更にがんばってほしいところです。
ところで「さぬきにホルモン鍋」と言えば意外な組合せに思われるかも知れませんが、実はさぬきはうどんだけでなく、立派な「鍋」文化圏です。次のアンケート結果からわかるように、香川県は実は鍋を食べる回数だけでなく、鍋奉行の回数共に堂々の日本一なのです。そして鍋といえばシメは必ずうどんです。お店で鍋を注文すると、最後に「どちらにしますか?」と聞かれはしますが、皆さん十中八九、おじやではなくうどんを選択します。つまり鍋好きとうどん文化には強い相関があるのです。結局は「鍋・鍋・・・」と言いながら、シメはうどんですから、それはうどんを食べているようなものです(かなり話が外れてしまいました・・・)。