#341 都道府県別人工透析患者数
#303(「うどんの食べ過ぎは糖尿病の原因になるか?」)を取り上げました。個人的には、香川県の糖尿病患者数は年齢調整をした場合は、全国平均とそれほど変わることなく、よってうどん原因説はまったく根拠がないと思います。さて今回は、都道府県別の人工透析患者数についてまとめてみました。人工透析に至る原因はいくつかありますが、現在では糖尿病由来が43.2%とトップです。よって現在では糖尿病患者数と透析患者数との間には、強い相関があるはずで、糖尿病患者が多いなら、当然透析患者数も多いと考えたからです。
https://www.dm-net.co.jp/calendar/2010/009775.php
人工透析医学会のサイトには施設調査による都道府県別透析患者数が掲載されていますが、その使用については許可が必要とのことなので、今回は厚生労働省のサイトのデータを利用しました。ここには第15表に、都道府県別の「人工透析の実施件数(2008年9月)」があったので、この数値を2008年の透析患者数(282622人)で按分しました。すると都道府県別透析患者数は【#341表1】のようになり、人工10万人当りの香川県の人工透析患者数は、240人で、これは全国第16位です。全国平均が222人なので、これは少し多い程度です。
ただ#303でも申しましたが、単純に10万人で比較するのは公平とはいえません。というのは糖尿病は成人病なので、当然高齢者の方がその割合が高くなります。つまり平均年齢60歳と50歳のグループでは、当然前者の方が割合は高くなるはずです。そこで公平を期すために各都道府県の50歳以上人口を対象に、再度人口10万人当りの透析患者数をだしてみました。例えば香川県の場合、2008年の透析患者は2379人と推定されました。そして香川県の人口は99.2万人で、この内50歳以上人口は、47.7万人でした。よってこれらの数値を使って、次のように計算しています。
2379÷99.2×10=239.8人(人口10万人当りの透析患者数)
2379÷47.7×10=498.7人(50歳以上人口10万人当りの透析患者数)
つまり50歳以上人口で比較した方が、ある程度年齢が調整されているので、より正確な比較ができるはずです。そしてこの結果、香川県は499人で全国第22位となり、ほぼ中間に位置するようになります(【#341表2】)。よって透析患者数で比較しても香川県は、決して糖尿病患者は多いとはいえず、うどんは犯人説があたらないと考えます。結果をみると全国的には、南北で差があるようにも思えますが、その辺りはみなさんでお考えください。
透析治療は肉体的にもかなり辛いと聞きます。また治療費もかなり高額で、社会への負担も少なからずのものとなっています。普段からバランスのとれた食事を心がけ、適度な運動を行い、規則正しい正確を行うことが大切、と聞きました。