#355 ホームベーカリーの出荷台数

最近はホームベーカリー(以下HB)をよく見かけるようになりました。弊社でも数年前から、自社小麦粉の品質チェックを兼ねて、毎日2台のHBがフル稼働しています。1斤当り4時間かかるので、毎日4~6斤の食パンが焼きあがります。もちろん全て自家消費できるわけではないので、社員の皆さん、及び会社に来られた方々にその都度お持ち帰りいただき、食味試験をお願いしています。おいしいパンが食べられるのは結構な事ですが、悩みの種は毎日焼くので、パンケース(焼き窯)のテフロン加工がすぐにとれてしまい、半年余りで交換しなければならないことです。

HBを使用するメリットは、「焼きたてが食べられる」、「コストが安上がりだ」など色々ありますが、私は「すっきりとした味わいと、小麦粉の自然な風味が味わえる」ことが一番のメリットだと考えます。これはHBの性能もさることながら、その使用食材のシンプルさにあると思います。つまり市場に流通しているパンは、品質保持などの制約で基本食材以外に添加物等を使用していますが、自家製パンでは必要最低限の食材だけ使用するので、すっきりとした味わいに仕上がります。また原材料が自分で決められるので、安心だという意見もよく耳にします。

これはうどんについても同じことが言えます。自分で手打ちうどんを打つと、専門店に負けないうどんができますが、これは「打ちたて」、つまり最高の鮮度のうどんが食べられるだけでなく、原材料として「小麦粉、塩、水」しか使用しないために、すっきりとした自然な風味が味わえるからです。一方量販店で販売されているうどんは、袋に入った加工食品であるため、鮮度保持や食感改良などの目的で、原材料以外のものも含まれているために、どうしても自家製麺と同じというわけにはいかないのです。

2012.10.30の朝日新聞より

2012.10.30の朝日新聞より

さて前置きが長くなりましたが、最近のHBは販売が好調で、ここ数年は毎年二桁増、そして昨年は史上最高の79万台ものHBが売れたそうです(画像参照、上記は77万となっていますが、実際は79万台です)。実はHBといえば、今から20年以上前の1980年代に発売され、当時は年間35万台という爆発的なブームを巻き起こしました。しかし現在ほどの高機能でなかったためか、やがてブームは下火になり、1993年には17,000台と底を打ちました。そして捲土重来、昨年は史上最高となったわけです。

ブームを反映してか、現在は各社から多種多様なHBが発売されていています。米粉パンを始めとしてありとあらゆるパンが焼ける、何万円もする高級機種がある一方、ごく基本的な機能に絞った廉価版もあります。これは独断ですが、実用的には後者の廉価版で充分だと思います。廉価版といっても現在のHBは昔に比べるとはるかに高機能で、色んなパンが楽しめます。それにうどんやごはんと同じで、毎日食べるとなると、どうしても飽きのこない食パンが中心になるし、会社でも焼いているのは専ら食パンばかり、よって基本機能だけで充分なのです。

ところで海の向こうに住んでいる友人が、ときどきピーカン(Pecan)、くるみ(Walnuts)、松の実(Pine seed)といったナッツ類をたくさん送ってくれます。これまではなんとはなく、そのまま食べていましたが、今回はHBについているレーズン容器にセットしてみました。これは最適なタイミングで容器内の具材を自動でパンケースに投下してくれるオプションで、これを利用すると、見事に美味しい「木の実」食パンができました。ピーカンパンとくるみパンの違いがよくわかりませんが、ピーカンはくるみの親戚で、味も似ているとのことなので、それも当然です。これから暫くは「木の実」パン三昧です。みなさんも是非一度HBで食パンにトライしてみてください。