#360 2012年今年の3大ニュース
早いもので今年も残り僅かとなりました。さて大方の予想が外れ、まさかの師走選挙となりました。そして結果は、またまたびっくり予想外の、政権与党大惨敗でした。こんなに大惨敗するなら、最初から解散なんかしなければいいのに、と思っても後の祭りです。さて攻守交代となりましたが、新政権ではどうなるのでしょう?とりあえずは円安・株高が進んでいますが、今後どうなるかはこれから次第です。景気を浮揚させるための大型補正予算と財政健全化、これをどうやって両立させるのか、正に政治の手腕が試されます。
さて恒例により独断で業界の「今年の3大ニュース」をお届けしたいと思います。一応、参考資料として地元紙掲載(四国新聞)の香川県内の10ニユースそして製粉振興会による業界10大ニュースをご参考までに掲載いたしますので、併せてご覧ください。
①「さぬきの夢2009」への全面切り替え
現在香川県で生産されている小麦品種は、「さぬきの夢2000」から「さぬきの夢2009」へと移行中で、今年が移行最終年となります。つまり今冬播種した小麦はすべて「さぬきの夢2009」、よって来年収穫される小麦もすべて「さぬきの夢2009」となります。「さぬきの夢2000」は小麦の味わいが深い品種なので、名残惜しいのは山々ですが、年間5000t程度の収量では2品種の耕作は難しく、こういう結果になってしまいました。よって「さぬきの夢2000」を味わうことができるのは、今年収穫した小麦がなくなる来夏あたりだろうと思います。
②パンの消費がコメの消費を超える。
戦後、米の消費は一貫して減少を続け、一方小麦は徐々にではありますが増加を続けてきました。そしてその象徴的な結果のひとつとして、米とパンとの支出金額が逆転したことが挙げられます。具体的にはH23 には、一世帯当りの支出の比較として、米が27,428円に対しパンは28,316円でした(#345)。ただ米は加工する前の状態での購入金額であるのに対し、パンは小麦粉を加工し、すぐに食べられる状態であるので、公平な比較ではないかも知れません。ただ何れにしても小麦粉は食生活における確固たる地位を獲得したのは間違いありません。
③CWBのシングルデスク廃止。
これは業界ニュース中、4番目にありました。CWBとはカナダ小麦局(Canadian Wheat Board)のことで、カナダの小麦輸出を一手に引き受けている、国営の機関です。つまり国営企業を廃止し、小麦の輸出事業を民営化にしたという、所謂「官から民へ」の一つの例です。理由はきっと、民営化した方が競争原理が働き、その結果お国の為にプラスになると判断したからだと思います。これと同様の事例は既にオーストラリアで起きていて、AWB(オーストラリア小麦局)は、数年前に廃止されています。
これからは全くの独断ですので、飽くまでも「ひとつの話」としてお聞きください。小麦局が民営化されて生産国にとってプラスになることは、逆に言うと購入者、つまり私たち製粉会社にとっては、マイナスになることもあります。そして思い当たるフシがあるのです。気のせいか最近の輸入小麦の品質は以前に比べ少し劣るような気がします。一例を挙げると、小麦の中に含まれる夾雑物が以前より多いようなのです。夾雑物とは、簡単にいうと「ちり」、「ほこり」、石ころ、大豆などの他の穀物などなど、小麦以外のものを指します。
つまり夾雑物が多いと、それだけ小麦が少ないことになり、私たちにとって望ましいことではありません。もちろん、輸出される小麦には品質規格というものがあり、一定の基準をクリアーしたものだけが輸出を許可されるので、粗悪品が輸入されることはありません。そして民営化になり利益追求となれば、当然規格ギリギリの小麦を輸出することがベストになるので、そう努力します。一方、国営の場合、ギリギリを狙う必要はなく(もし規格外の商品がでればその処理が面倒なので)、安全係数を大きくとって、品質の少し良い物(つまり夾雑物の少ない)を輸出しようとします。その結果品質的には良い小麦が輸出されることになります(少し考え過ぎでしょうか?(-_-;))。
何れに致しましても、みなさんどうか良い年をお迎えくださいませ。