#365 さぬきのおでん事情

さぬきのおでんといえば、最近はセルフうどんの台頭により、だんだんと劣勢に立たされているのではないかと、(#354)でお伝えしました。とはいうもののまだまだ健在で、うどん店に入ると大抵はレジ横におでん鍋があり、そこには色んなおでんが所狭しと、押し合いへし合い並んでいます。まだまだ讃岐においては、うどんといえばおでん、そしておでんといえばうどんです。また家庭においてもおでんは絶大なる人気を誇っており、先日(2013.01.11)の地元紙(四国新聞)に「讃岐のおでん事情」として、人気おでんランキングが紹介されていましたのでここにご紹介します。

まずは結果から。ベスト5は1位ダイコン2位コンニャク3位天ぷら4位玉子5位すじ肉。但しここでの「天ぷら」は、小麦粉を衣にして揚げたものではなく、魚のすり身を固めて揚げたもので、正確には「讃岐天ぷら」と言います。「さつまあげ」とよく似ていますが、薄く細長い短冊形をしているのが特徴です。このような方言と共通語に同じ言葉があって、しかも意味が異なる言葉というのは、実にやっかいです。一例を挙げると、讃岐では、「借りる」と言う代わりに「借る」という言い回しが一般的です。で、遠い昔の学生時代に「どこに住んどんな?」と聞かれ、「アパート借(か)ってます」と答えて、「えらいリッチやな!」と誤解されたことがあります。

話は戻り、讃岐のおでんの特徴の一つは、串に刺さっていることだそうです。言われてみれば、確かにコンビニや香川県以外で見かけるおでんはそのままの状態でおでん鍋に入っていますが、うどん屋さんでは、串に刺さっています。理由は定かではありませんが、讃岐のおでんは、セルフ形式で好きなだけ取るので、後で串の数を数えれば、いくつ食べたかわかるように工夫されているのかも知れません。でもダイコンとか豆腐なんかは、流石に刺さってないので、自己申告をよろしくお願いします。

ランキングは概ね妥当な結果ではありますが、私の大好きな豆腐が8位と着外なのは少し意外で、誠に残念でした。また讃岐特有のおでんダネとしてサトイモ(11位)、イイダコ(12位)があります。瀬戸内海で獲れる飯蛸(イイダコ)は冬季限定で、これは胴部(頭にみえる部位)にぎっしり詰まった卵が米飯のように見えるからということです。蛸には目がなく、子供のときから未だにずっと好きです(というか益々好きになっているようです)。刺身、天ぷら、どんな調理でも大好きです。

脱線しますが、好き嫌いといえば、お寿司屋さんでは、なんであんなにトロが人気あるのか、不思議でなりません。個人的にはトロは嫌いではありません。確かに旨いとは思います。しかし一貫食べれば充分なのです。それよりもタコ⇒イカ⇒貝類色々をひと通り食べて、再びタコを食べるのが好きです。まあみなさん、お寿司もうどんも、食の多様性があって、それで良いのだと思います。

またサトイモとか豆腐のような芋類・穀類は、小さい時は何とも思わなかったものが、大人になってその味に目覚めました。小さい頃「お年寄りはなんで、こんな豆やイモばっかり食べるんやろ?」と不思議でしたが、だんだんとそういった年代に差し掛かってきたのかも知れません。そういえば玉子やも大人になって好きになった食材のひとつです。

セルフのうどん屋さんもいいですけど、休日にフルサービスのうどん屋さんで、ビールにおでんを突っつきながら、釜揚げうどんを待ってる瞬間は、至福のひとときです。みなさんもうどんツアーにやってきて一息ついたら、フルサービスのうどん店でゆっくりとおくつろぎください。