#366 スーパーのうどんテイスティング

ゆでうどんはどこのスーパーに行っても必ずあります。巾着袋の2玉入り、つゆ付、またきつねがセットになったものなど、色んなバージョンがありますが、基本は1食200g袋ゆでうどんです。1食が200gというのは、どう見ても少し小さいような気がしますが、世間ではこれが通り相場のようです。三好清氏によれば、「昔は一玉、百匁(ひゃくもんめ=375g)と相場は決まっとったんやで!、しかしなぁ、粉が上がっても値上げできんかったけん、だんだん玉の方が小そうなったんや」(#176)とのことですが、真偽の程は定かではありません。

ただ何れにしてもこの1食200gのうどんが基本中の基本なので、この売れ行きが、各製麺会社の命運を左右するのかも知れません。そこで今回は、スーパーに並んでいる「ゆでうどん」をテイスティングしてみました。うどんを手にして改めて思ったことは、価格にはかなり幅があるという事実です。見た目はどれも似たような包装ですが、物によっては倍半分もの開きがあります。それに特売になると更に価格が動くので、断定はできませんが、買ってきた3種類のうどんはたぶん平均すると、①30円、②50円、③70円あたりであろうと思います。

最初にひとつ申し上げておきたいのは、店頭に並んでいるうどんは、工場で既にゆでたうどんを持ってくるため、かなり時間が経過し、専門店のうどんとは根本的に異なるということです。つまり専門店のうどんは、ゆであげ直後であるため、うどん表面の水分は70~80%であるのに対し、中心部は50~60%です。そしてこの水分勾配により、噛み始めは軟らかいけれど、内側は硬く、これがさぬきうどん独特のコシになっています。一方スーパーのうどんは、時間が経過しているため、水分が均一になっていて、最初から最後まで同じ硬さになっています。よってこの辺りの食感には、違いがあるのは仕方ありません。

表現が難しいのですが、このためにスーパーのうどんは、噛んだときにプツンと切れるような食感になります。じゃあ、だからスーパーのうどんは美味しくないのか、と言われるとそうではないと思います。独断ですが、本当においしいと感じるうどんは、口に入れて噛んだ後、一呼吸遅れて小麦粉の風味というか、ほんのりとした甘味が口の中に拡がるうどんだと思います。これは水回し、熟成といった作業工程がきちんとできていれば、たとえゆで後の時間が経過していても、可能であると考えます。逆にいくらゆでたてであっても、味のないうどんは食べているうちに飽きてくると思います。

さて前置きが長くなってしまいましたが、テイスティングは4名で行い、感想はほぼ同じでした。以下簡単にまとめると。①:色は白く、ツルツルしていて食感は良好でした。ただ若干酸味臭が感じられ、小麦でんぷんの味そのものが、薄いように感じました。②:専門店のようなコシはないものの、噛んだ後の小麦でんぷんの甘味がよく感じられ、また雑味もなくすっきりした仕上がりでした。③:②と同様小麦でんぷんの甘味がします。また若干色調がくすんでいるのは、国産小麦100%が理由のようです。

さてこう考えると、確かに価格差だけの違いはあるように思いますが、それではどのうどんを買うのかというと、また話は違うようです。U君曰く、「鍋の〆に入れるんだったら、どうせみんなお腹一杯になってることだし、安いうどんで充分じゃないですかね?」。O君曰く、「僕は20円の違いだったら、やっぱり飽きのこないうどんがいいですね」。S君曰く、「僕だったら腹一杯3玉食っても、60円の違いなら、味覚優先で旨いうどんやけど、結局のところ、うどんの旨味を気にする人と、そうでない人とで、評価が分かれるんですかね」。などなどみんな好き勝手なことを言ってくれました。ですから、結局のところは、全ての同じ条件で、スーパーの棚に並べてみて、消費者の皆さんに判断してもらうのが、公平な方法だと思います。