#372 瀬戸内芸術祭2013

瀬戸内海の島々を舞台とした芸術祭、「瀬戸内芸術祭2013」が始まりました。駆け足ではありますが、先日早速いってまいりました。前回は3年前の2010年の夏開催(#244)、そして今回は開催地域を少し拡大し、時期も次のように3期間に分割されました。前回は、女木島(めぎじま)⇒男木島(おぎじま)⇒豊島(てしま)ルートでしたが、今回は豊島⇒女木島⇒男木島と逆の順序で回ってきました。島々の風景は以前と変わることなく、あっと言う間の3年間で、ただただ月日の流れの速さにびっくりしました。

春:3月20日(春分の日) – 4月21日(日)
夏:7月20日(土) – 9月1日(日)
秋:10月5日(土) – 11月4日(月)
また開催地は以下のように(詳細は開催概要をご覧ください)瀬戸内海の12の島+高松・宇野となっています:
直島(3,277人) / 豊島(1,018人) / 女木島(174人) / 男木島(162人) / 小豆島(30,242人) / 大島(115人) / 犬島(54人) /
沙弥島(92人)[春のみ] / 本島(492人)[秋のみ] / 高見島(43人)[秋のみ] /
粟島(289人)[秋のみ] / 伊吹島(590人)[夏のみ] / 高松港・宇野港周辺
備考:各島の人数は平成22年10月1日時点の人口

(#244)でも申しましたが、この瀬戸内芸術祭の目的は、「海の復権」です。かつては光り輝いていた瀬戸内海の島々も、今やグローバル化の流れに呑み込まれ、風前の灯火です。島々は過疎化、高齢化が進み、地域の活力は著しく低下しています。それは上記会場の島々の人口をみても一目瞭然です。そもそも小さな島に数十人単位で今も生活し続けていること自体がなかなか想像できません。よって芸術を通じて今一度、この島々の浮揚を図ろうというのが、瀬戸内芸術祭の目的です。

少し話が逸れますが、活力の低下は島々だけではなく、地方全般に言えることです。今朝の四国新聞(2013.03.28)によると、現在99.6万人の香川の人口は、2040年には77.3万人(77.6%)にまで激減するそうです。日本という国の人口減と、地方の地盤沈下が重なり、地方経済は今後益々疲弊しそうな気配ですが、なんとかさぬきうどん(?) で活性化を図りたいところです。

今回の日帰りツアーでは、豊島美術館が印象的でした。3年前にはまだ建設中で、一体どんなものができるのか楽しみで、今回図らずも見学できてラッキーでした。これは建築家・西沢立衛、アーティスト・内藤礼による合作です。ただここは美術館といっても、作品があるわけではなく、瀬戸内海を臨む小高い丘の中腹に、白い円盤のような建物があるだけです。内部は大きなまるい天窓が2つあり、床には水滴が風に吹かれてコロコロと移動しているだけで、なんとも不思議な感覚です。

男木島には、前回一番のお気に入りであった、オスカール大島さんの作品があるはずでした。これは公民館の内壁をカンバスに見立て、マジック1本で描いた瀬戸内海の風景が、両壁の鏡によって延々と続いているように見えた、とってもユニークな作品でした。しかし火事により消失し、もう2度とみることができないのは、誠に残念でした。

尚、芸術祭とは直接関連はありませんが、女木島には「女木島モアイ像」があります。実は高松市の大手クレーンメーカーが、以前傷んだイースターのモアイ像をボランティアで修理にでかけたことがありました。しかし今までクレーンで修理した前例がなかったので、とりあえず女木島で予行演習をしてから、本番に臨もうということになり、ここにモアイ像のレプリカを一体構えたそうです。それにしても昔の人たちはどうやって、こんなでかいモアイ像をつくることができたんでしょうね。瀬戸内の島々を満喫できた、一日でした。