#389 最新版うどん一杯の価格は239円
少し古くなりますが、地元紙(四国新聞2013.05.26)にかけうどん(素うどん)一杯の価格が、239.4円とでておりました。これは香川県内のうどん店を、地域性・タイプなどを考慮して代表店50店を選びその平均価格をだしたもので、具体的には次の3つに分類し、その平均価格です:
①セルフ・製麺所 174.6円
②一般店 309.6円
③観光客の多い店 181.1円
ここで③観光客の多い店というのは、金比羅さんのように伝統的な観光地にあるうどん店なのか、それともうどんツアーが目的の観光客の皆さんが訪れるうどん店なのかが不明ですが、価格からすると後者であるように思えます。平均価格は239円ですが、一般店(フルサービス)を除けば、180円なので、この辺りが相場でしょうか。地元に住んでる人間としては、セルフで200円だとちょっと高いと感じるし、逆に150円といううどんは、ほとんど姿を消したように思います。
ただ掲載記事によると今回の平均価格239円は、8年前(2003年)とくらべて15円の値上がりです。実は弊社でも2003年に社内でかけうどん一杯の価格調査をしましたが、そのときは216円でした。いずれにしても10年前と比較して若干値上がりしているようです。当時はセルフでも150円というお店がポツポツあったし、中には100円でしかも人気のうどん店があったので、そういったお店が全体の低価格化に貢献していたようです。
今回のうどん価格調査は、小麦粉価格の上昇がうどん価格にどう影響しているのかを知るのが目的でもあったようです。踏み込んでいえば、「小麦粉価格が高騰したときに、うどんが値上げされるのは理解できるが、それではなぜ小麦粉が下がったときに、うどん価格は値下げされないのか?」といった素直な疑問も取り上げられていました。
確かに現在小麦粉価格は、小麦価格に連動して、年2回の価格改定が行われているので、厳密にいえば小麦粉価格が下がったときには、うどん価格も下がるべきです。しかしそもそもうどん一杯に占める小麦粉価格は、10円前後で、以前小麦粉価格が高騰したときでも、値上がり分は単純に計算すると2円程度でした。ですから少々小麦粉が下がったからといって、うどん価格を1円とか50銭だけ下げるわけにもいきません。
よって別にうどん屋さんの肩を持つわけではありませんが、小麦粉価格が下がっても、おいそれとうどん価格を下げることができない事情もあるのです。さぬきうどんは、庶民の食べ物なので、それほど高価なものではなく、よってどこのうどん屋さんもそれなりに苦労されています。実際、人件費、光熱費、食用油といった経費は軒並み上昇しています。しかし一々詳細に説明するよりも、うどんは小麦粉でできているので、「小麦粉が上がったので、うどんも値上げさせていただきます」というのが、単純明快でわかりやすいから、そう説明されているだけだと思います。
ただ240円というのは確かに魅力的ですが、その讃岐うどんにもライバルが登場しています。例えば全国チェーンの牛丼店が250円で牛丼を提供しているし、増え続けるコンビニ店にはイートイン・サービスを併設しているとこもでてきました。よってさぬきのうどん屋さんも、現在の価格を維持しながら、更に魅力的なうどんを提供することが肝要かと思います。
これは杞憂かもしれませんが、最近さぬきのうどん屋さんも、一部では店舗展開が進み、結果としてうどん店の多様性が薄れつつあるのかなと感じます。実際、坂出地区においても、彦江製麺所、上原製麺所といった特徴のある老舗のうどん店が閉店しました。うどんツアーに来られる人たちは、そういったユニークなうどん店を目指して来られている人も、大勢いるので、独立店には今後益々個性を発揮して頂きたいところです。