新着情報#404 韓国の製粉事情・・・その①

現在はTPP交渉の真っ最中ですが、その進捗状況はなかなか外部には伝わってきません。日本は、①コメ②麦(小麦・大麦)③牛・豚肉④牛乳・乳製品⑤砂糖類を重要5品目として位置づけ、これを死守すべく努力をしていますが、状況は予断を許しません。日本の小麦事情についてはこれまで何度かご説明しました。簡単にいうと生産コストの高い内麦(国産小麦)を保護するためには、補助金が必要ですが、その原資は、外麦(外国産小麦)を製粉会社に売却するときに、上乗せするMU(マークアップ)とよばれる補助金相当額です。MU(markup)とは元々「値上げ幅」といった意味ですが、ここでは補助金相当分にあたる上乗せ分を指します。このMAは具体的にどの位になるかというと、うどん1玉当りに換算して2~3円程度です。詳細をご希望の方は、新着情報#307#308#309をご覧ください。

ところで先日、韓国の製粉事情を知る貴重な機会がありました。韓国はすぐお隣の国で、僅か飛行機で1時間半のところですが、これまで近くて遠い国でした。今回初めて工場見学に加え、小麦事情も勉強することができ、有意義な見学となりました。日本との大きな違いは、韓国には実質的に国産小麦が生産されていないので、MAなるものが存在せず、よって小麦粉価格は日本よりも安くなります(うどん1玉換算で2~3円)。訪問したところは①KOFMIA(韓国製粉産業協会)②㈱CJ製粉③コリアサイロの3ヶ所です。以下簡単にこの3ヶ所について説明し、その後韓国の小麦事情についてまとめてみたいと思います。

①KOFMIA(the Korean Flour Mills Industrial Association)
KOFMIAは1955年12月31日に設立された協会で、現在韓国にある8社の製粉会社全員が会員になっています(後述しますが厳密に言うと9社です)。ここでは、現在の韓国の製粉事情についての大まかな説明が受けました。説明はもちろん通訳を通してですが、韓国語⇒英語⇒日本語と、英語を介して行われました。地理的には極めて近い隣人であるにもかかわらず、英語が共通のコミュニケーションツールであるのは、なんとも不思議であると同時に、共通言語としての英語の存在感を、改めて認識しました。

KOFMIAでの説明

②㈱CJ製粉
㈱CJ製粉は現在8社ある製粉会社のうち2番目に大きな製粉会社であると同時に、CJグループの一員です。CJグループは、元々は製糖会社として発足しましたが、今では砂糖、小麦粉といった食品素材だけでなく、医薬品、加工食品、外食事業、更には通販事業やエンターテイメント事業なども手がける様々な会社を傘下に治める持ち株会社です。ソウル市内の本社ビルは現在のCJグループを象徴する素晴らしいビルでした(残念ながら内部は写真不可)。

㈱CJ製粉の事務所ビル

㈱CJ製粉の事務所ビル

③コリアサイロ (Korea Silo Co., Ltd.)
ソウルから車で1時間、インチョン港(仁川港)にある穀物サイロで、韓国製粉業界ナンバーワンである大韓製粉㈱の100%小会社です。韓国は現在、年間1200万トンの穀物を輸入していますが、そのうち700万トンがインチョン港に輸入され、その中の300万トンがコリアサイロに入ります。更にはその中の100万トンが小麦で、その内の半分の50万トンは直接コンベアでお隣の大韓製粉㈱の工場に搬入され製粉されます。サイロの容量は30万トンなので、年間3回以上回転していることになります。

コリアサイロのロゴ

サイロは全高が45メートル、サイロビンは1本当り1700t~2300tの穀物が、また併設されているスチールサイロには、1基あたり7000tの小麦が収容できます。人気がないところで、ただ小麦だけがコンベアにのってサイロ内に自動搬送されている光景がモニターに、映しだされているのが印象的でした。サイロのことは門外漢なのでよく分かりませんが、全てのサイロ内の温度がモニターに一括表示されている光景は圧巻でした。

コリアサイロ

スチールサイロ

スチールサイロ

サイロに隣接する大韓製粉工場・ロゴマークはしろくまくん

サイロに隣接する大韓製粉工場・ロゴマークはしろくまくん