#442 さぬきうどん科16期生工場見学

f442さぬきうどん科は、「さぬきうどんに関する知識と技術の習得を目標」に、うどん県が提供している「うどん職人育成プログラム」です。具体的には、香川県立高等技術学校の職業訓練課程において、1年に2回、それぞれ3ヶ月コースとして開講され、実際の研修等は、さぬき麺機㈱で行われています。定員は10名ですが、毎回希望者が定員を大幅に上回る人気コースとなっています。そして先日9月8日には、そのさぬきうどん科の生徒さん達が製粉工場見学に来られました(以前は#057)。

さぬきうどん科の受講者はなぜか県外者が結構多く、今回も半数以上がそうでした。3ヶ月の間みなさんみっちりとうどん屋としての修行を積むわけですが、研修後はうどん屋さんになるのかと言えば必ずしもそうではなく、進路は様々です。研修後は更に実際のうどん店で腕を磨く方、趣味としてのうどん道を極めたい方、そして当然真剣にうどん店開業を目指している方もいます。

ただ一口にうどん店開業といっても、当の本人してみれば一世一代の大勝負なので、軽い気持ちで始めるわけにはいきません。開業するとなると当然まとまった資金が必要だし、お話を伺っていると正直なところ、そこが正にポイントのようです。うどん県でのうどん店の数は、最近はおよそ700店で安定していると言われていますが、それは単に同じうどん店が営業を続けているわけではありません。毎年数多くの新店が登場しては、人知れず暖簾を下ろすお店も多くあり、700店という数は、その激しい新陳代謝の結果です。よってうどん店開業にあたって、悩むのは当然です。

ところで折角の機会なので、第16期生の皆さんにうどん科研修についての感想及び疑問質問なんでもいいので、尋ねてみました。まず印象的な経験としては、「店舗実習」を挙げられました。これは個々が実際の繁盛店に週末毎(土日)に入り、合計15日間にわたり店員さんと同じようにお仕事をする実習です。「天ぷらだけを揚げる」特定業務専属の方もいましたが、それでも全体的な流れが把握でき、オペレーションがよくわかったようです。また開業を検討されている方は「自分のやりたいお店の方向性が固まった」、「運営方法、接客方法がよくわかった」、「経営者の視点で見たり考えたりすることができた」など、実際の店舗実習でなければ得られない貴重な経験もされたようです。

また次のようなご質問もありました:「現場で2種類の小麦粉を毎回、30分かけてミキシングしているけど、これは果たして時間をかけるだけの効果もしくは価値があるのだろうか?」。これは研修先の店舗でAとBの2種類の小麦粉を予め撹拌してから、作業を始めるわけですが、「このミキシングという予備作業のために30分余計に時間がかかるけれど、果たしてその時間に見合うだけの価値があるのか?」ということのようでした。

これは製粉会社の立場で、誤解を恐れずにお答えすると単一銘柄にした方が効率的であると考えます。理由はどこの製粉会社も、うどん用小麦粉の代表銘柄をいくつか用意しているので、その中にきっと希望のもの(もしくは近いもの)が見つかるはずだからです。またミキサーやニーダーは、本来小麦粉と塩水とを混ぜ合わせたり、捏ねたりするのが目的で、小麦粉同士を混合するための機械ではありません。よって効率的であるとはいえず、その時間的ロスに見合うだけの価値があるかどうかは、判断の難しいところです。加えて繁盛店の多くは、単一銘柄を使用している事実を考えると、希望に一番近い小麦粉を選択し、使用するのがベストではないかと考えます。

f442_2