#497 シンガポールへの旅
シンガポールは、マレー半島の南端に位置する、経済に特化した都市国家です。リー・クアンユー氏により1963年に建国され、その後順調に経済都市国家として成長してきました。その建国の父であるリー・クアンユー氏は2015年3月にご逝去されましたが、シンガポールは、現在も着実にそして順調に、更に高い経済成長を遂げています。
シンガポールには、1998年に観光目的で一度訪れたことがありますが、当時の印象はというと、「近代的で清潔ではあるものの、ポイ捨て禁止を始めとする、やたら規則の厳しい国」といったイメージしかありませんでした。しかし今回はイメージが一新しました。以下簡単に時系列的にまとめてみました。
まず到着直後、空港での昼食は、いきなりラーメンがでてきました。現在、東南アジアでは日本食ブームが起きつつあります。空港価格という特殊事情はあるにせよ、一杯2,000円のラーメンはどう考えても高い気がしますが、それでも立派にビジネスとして成り立っているところに、日本食人気とシンガポール経済の力強さを感じます。ホテルに併設の地下スーパーでは、日本の麺コーナーが設けられ、これも日本の感覚では、どう見ても、「高すぎる!」価格設定でした。高級スーパーであるとはいえ、定番商品となっていることに、東南アジア経済の力強さを感じざるを得ません。
翌朝は、ジェトロシンガポールの山口様より「アセアン(東南アジア諸国連合)ゲートウェイとしてのシンガポール消費市場のビジネスチャンス」というタイトルのご講演を拝聴しました。これで現在の東南アジアの情勢、そしてシンガポールの位置づけがよく理解できました。一言で言うと:「東南アジアの消費市場は今後も順調に拡大を続けることで、『アジアのフラット化』が起こり、日本のサービス産業が東南アジアにおいて展開する大きなチャンスが生れる。特にシンガポールは、地理的にも経済的にもその中心であり、今後その重要性は益々増加するが、一方で競争も激化するので、市場をよく知ることが重要だ」っと。
実際一人当たりのGDP で比較すると、アセアン全体では3,843ドル(USドル換算)であるのに対し、シンガポールは10倍以上の54,776ドル、そして日本は37,703ドル。この数字からもシンガポールは経済に特化しているとはいえ、その経済力の力強さがわかります。しかも日本は社会が成熟しているため経済成長率は鈍化していますが、シンガポールは今後も高い成長率が見込まれています。いずれにせよ、今後アジアでのビジネス展開を図るのであれば、シンガポールは外せないということです。
午後は、3日間限定で開催されていた「Oishii Japan」という食品見本市を見学。日本全国各地の名産特産品を持込み、これからアセアン市場において日本の食文化を普及させようとする意気込みが感じられます。うどん、ラーメン、日本茶、農産物を始めとする日本各地からの伝統的食品が出品され、特に我が香川県からは、「いりこ」や「オリーブ牛」などが展示され、日本から遠く離れた異国の地で、郷土の特産品に出会うと、なぜか懐かしくそして嬉しく感じます。
さて午後の残り時間は、市内観光。シンガポール観光といえば、従来は何が何でもマーライオンですが、今回の目玉は、マリーナベイサンズ(Marina Bay Sands)です。これはマリーナ・ベイに面したリゾートホテルで、2010年にオープンしました。高さ200mの高層タワー3棟の屋上部を船形をした空中庭園やプールで連結した、「天空の船」と形容されるその外観は、どうみても現実のものとは思えません。ホテル内部には、単独としては世界最大のカジノ(500のテーブルと1,600台のスロットマシン)が併設され、このホテルの存在だけで、現在のシンガポール経済のダイナミズムを説明できる気がしました。