#513 餃子(の皮)
餃子は好きですが、自分で皮から作ったことはありません。正確には小さい頃、一度だけ、包むのを手伝った記憶がありますが、それ以後は全く縁がありません。今では、専ら中華料理屋さんで頼むか、もしくはスーパーで買ってくる程度です。多分、大抵の方がそうだと思います。しかし最近、ときどき周囲で手作り餃子の話を聞くことがあるので、「これは一度、やっとかんといかんな」ということで餃子作りにチャレンジしてみました。便利な世の中になったもので、その気になれば、レシピは瞬時にいくつも入手できます。
まず使用小麦粉ですが、強力粉と薄力粉を同量ミックスしたもの、もしくは中力粉だけというのもありました。言うまでもなく、小麦粉の種類は、その小麦粉に含まれるタンパク質の量の多い順に強力粉、中力粉、薄力粉と分類されています。しかしこの分類はあくまでもタンパク質量にだけを着目しているので、一口に強力粉だからといって、全て同じパンが焼けるとは限りません。人間でも同じA型でも色々な性格の人がいるのと同じです。それに小麦粉の70%以上は炭水化物(デンプン)が占めるので、この部分が食味に大きなウエートを占めることは容易に想像できると思います。
さて肝心の餃子の皮の作り方ですが、これは至って簡単で、小麦粉をお湯で練るだけです。中には、ラードやサラダ油を入れて、濃厚に仕上げるレシピもありますが、ここでは純粋に小麦粉の味を重視するために何も入れませんでした。ここで水ではなくお湯を使用する理由は、熟成を早くするためです。使用小麦粉は、①ひまわり(強力粉)、②すずらん(中力粉)、③さぬきの夢(中力粉)の3種です。①はパン用粉、②、③はうどん用粉です。③は中力粉と表示していますが、純粋にタンパク質量だけから区別すると薄力粉とすべきかも知れません。
次に加水量ですが、検索レシピでは50%~67%(小麦粉100gに対し水50~67cc)でしたが、ここでは①ひまわり60%、②すずらん55%、③さぬきの夢50%と調整してみました(小麦粉400gに対し、お湯240cc、220cc、200cc)。強力粉の加水量を多くする理由は、でんぷん質よりもタンパク質の方がずっと多くの水分を抱え込むことができるからです。正確にはグルテンは自分の2倍の重さの水を保持することができます。実際、できあがった生地は画像の通りで、「さぬきの夢」は加水量が一番少ないにも拘らず、背が低くなりました。
実際に餡を詰めて餃子に仕上げると、その小麦粉の色調がよくわかります。すずらん(左端)は淡黄色が鮮やかであるのに対し、「さぬきの夢」(中央)は少しくすみ、ひまわり(右端)は強力粉特有の色調を呈します。肝心の食味試験ですが、個人的にはすずらんや「さぬきの夢」が好みでした。理由は皮の食味だけでなく、そのソフトな触感が、気に入ったからです。ひまわりもそれなりに良いのですが、強力粉だけに「少し皮が硬いかな」という印象です。もちろん好みには個人差があることをご了承ください。
更には水餃子も試してみました。「餃子といえば断然焼き餃子」という方も多いのですが、個人的には水餃子が好きです。以前は、カリカリ焼き上がった餃子が断然好きでしたが、水餃子はあっさり仕上がるので、食べていて飽きません。尤もこのようにスープにしてしまうと、ワンタンか水餃子かわからなくなりますが、美味しいものは、やっぱり美味しいのです。うどんだけでなく餃子も簡単に手作りできるので、皆さんも是非お試しください。手作りの魅力は、何と言っても素材の新鮮な食味を、丸ごと堪能できる点に尽きると思います。