#546 図書館の密かな魅力・・・図書館カレー

f546近所のうどん屋さんでは、そろそろ冬季限定のそばが販売される時期になりました。尤も讃岐のそばは、更科そばのようにシャキッとした麺ではなく、ぼそぼそとした食感のいわゆる「田舎そば」です。うどんよりも細いけど、更級そばよりはずっと太く、専らかけそば専門です。また原料配合もニ八蕎麦や十割蕎麦ではなくて、小麦粉:そば粉=2:1あたりが標準なので、そばというよりも「そばうどん」と言うべきかもしれません。さぬきの随筆家・山田竹系先生は、さぬきの蕎麦を、その著「随筆・さぬきうどん」の中で次のように述べています。

「うどんは打ちたて、そばは宵ごし」というのは、ただしさぬきだけの言葉である。関東では、むろんそばも打ちだちで、打ってから三時間もしたら食べられるものではないということになっている。しかし、このさぬきの宵ごしそばは、いわれてみると、なかなかうまい。昨日打ったそばは、もうかたくなって、ピンピンしている。それを熱い湯でぬくめて、少しから目にしょうゆを入れ、油あげなどで、グツグツと煮て、細く切ったユズの皮なんかをふりかけて食べる山家のそばは、まこと郷愁をそそるおふくろの味である。あの、冷たく重い東京のそばのうまさとは対照的である。

さて前置きが長くなりましたが、イラスト担当者による新着情報をお届けします。

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皆さん最近、図書館には行っていますか?私は幼い頃、読書と勉強が大嫌いという、実に親不孝な娘でした(今でも勉強は相変わらず苦手です)。小学校では月に1度図書の時間があり、必ず本を借りなければいけませんでしたが、私は同じ2、3冊の本をローテーションするというインチキな手を使ったこともありました。一方、学年には必ず一人や二人、空き時間に図書館へ行き、常に本を読んでいる子がいるものです。正直当時はそんな様子を端から見ていて、「よくあれだけ根詰めて読めるもんだなあ」と不思議でしたが、今では当時早くからその魅力に気づいていたその子は早熟で凄かったんだなあ、と尊敬しています。

遅ればせながら、大学生になってからは、私も図書館に行く機会が徐々に増えました。先日、調べ物をするため、久しぶりに向かったのは国立国会図書館でした。国立国会図書館には国内最多の蔵書がありますが、日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存するのですから、当然といえば当然です。そういえば、以前この納本義務制度を悪用して、法外な価格設定の書籍を発行した出版社のニュースがありましたが、こういうずるくて賢いのが、本当にずる賢いというのでしょうか。それにしても毎年発刊される膨大な数の書籍を、全て保管することが本当にできるのかも心配になります。

f546_2話は戻り、国会図書館に入館するには、入館証が必要ですが、これは誰でもすぐに作ることが可能です。資料を請求して受け取りカウンターに届くまで、混んでいなければおよそ20分といったところです。そこで私はその時間を利用して、初めて食堂へ行きました。事前にネットで調べていたのですが、ここにはその名も「図書館カレー」という名物メニューがあります。これは真ん中がライスで仕切られており、半分はカレー、もう半分は牛丼の具という、一度で二度楽しめる何とも有難い一品なのです。

さらに凄いのがメガカレーなる超大盛り。これはなんとおぼんを皿代わりにしているではありませんか!見た目的には、ただただ圧倒されて、食べるのを躊躇してしまいますが、1000円を切るコスパの良さが売りのようです。

名物メニューを紹介しておきながら、実際に私が注文したのは、なんと牛丼(並)。しかしガラス越しに国会議事堂を眺め、テレビの国会中継を観ながら牛丼を食べるという、何とも奇妙な体験を堪能しました。どういうわけか、後から注文したおじさんも、数あるメニューの中からチョイスしたのは、またしても牛丼。思わず、「やっぱり牛丼ですよね」とおじさんに話しかけそうになりました。図書館で始まりながら、牛丼で終わるのは何とも情けない話ではありますが、ここは都内の一等地で、しかもメニューも豊富、コスパも最高、そしてゆっくり食べられると三拍子そろった食堂ですので、みなさんも機会があれば是非一度お試しください。