#549 フランスの温暖化対策・・・レジ袋・プラスチック製使い捨て食器の廃止
2016年12月のお知らせでご紹介しましたが、フランスでは2016年7月1日よりスーパーなどにおいて使い捨てプラスチック製レジ袋(厚さ50ミクロン未満)の使用が禁止されました。また1年後の2017年7月1日からはこの適用範囲が、生鮮食品包装用などへ拡大されます。日本でもエコバッグが一部利用されていますが、フランスではレジ袋が法律で禁止されてしまったので、今後は必ずマイバッグ持参となります。
フランスは更にここから突き進み、2020年1月からは、全ての「使い捨てプラスチックカップや皿の使用禁止」が法律で決まりました。こう表現すると使い捨て食器が「無くなってしまう」気がしますが、実はそうではないようです。実際は使い捨て食器類の材質についての条件が規定され、具体的には「家庭用コンポストで堆肥にできる生物由来の素材を50%以上使用」、そして2025年までにはこの割合を60%に引き上げるとあります。つまり100%プラスチックの材質はだめだということです。
この「生物由来の素材」を50%使用したプラスチックカップは、使用後自然に帰るのかといえばそうではありません。生物資源(バイオマス素材)から作られたプラススチック(バイオプラスチックといいます)は、元来地上にある植物を原料とするため、二酸化酸素を発生させないという点で、意味があるようです。つまりバイオプラスチックの使用率が高くなるほど、二酸化酸素の発生量が抑制されるために、地球にやさしいということです。繰り返しますが「使い捨て食器」がなくなるのではなく、材質が一般のプラスチックから地球に優しい材質バイオプラスチックに切り替わるということです。
フランスはレジ袋を廃止し、環境に優しいバイオプラスチックの使用率を高めることで、2025年までにごみの埋め立て量を半減させ、また地球温暖化ガスの排出量を2030年までに40%削減(対1990年)を目標にしています。最初「フランスで使い捨て食器が禁止」というニュースを見たときは、びっくりしましたが、真相は二酸化酸素削減の取組みの一貫でした。いずれにせよ、こういう政策が国を挙げて実行できるところは、さすが地球温暖化対策「パリ協定」の議長国です。
ところで話は変わりますが、数年前まで日本の道路はゴミが落ちてなくてきれいになったなあと感じていました。しかしあるとき道路の片隅に白いレジ袋があるのを目にしました。最初は誰かの忘れ物か、もしくは誤って落としたのかと気にせずにいました。でもその内にレジ袋の中身は「ゴミ」であることがわかりました。そしてそのゴミ袋を見かける頻度がその後少しずつ増え、最近は複数個見かけることもあります。
察するに車内で飲食をした後、発生したゴミをレジ袋に詰めこみ、それを持ち帰らず、そのまま路上に放置しているようです。「なぜ持ち帰らずに路上に放置するのか?」、その心情は良く理解できませんが、少なくともゴミが発生しなければそんな事件は起こりません。暴論であることは百も承知ですが、もしそういった使い捨て食器に入った商品がなければ、こんな心配は無用となります。ここで話は戻りますが、フランスで使い捨て食器が禁止になるというニュースのタイトルだけをみて、「画期的な決断」だと早合点してしまいました。
利便性・簡便性を追求した結果、私たちの生活はどこまでも便利になりましたが、一方で路上のゴミも増えました。コンビニは果たして24時間必要なのかどうかの議論は難しいところです。しかし日曜になるとスーパー、デパートといったお店は全て閉店してしまうスイスの人たちは別に困った風にも見えません。慣れてしまえばどうってこともないのかも知れません。