#553 2017年迎春

f553旧年中はお世話になりました。
本年もどうかよろしくお願い申しあげます。

一昨日は「さぬきの夢」の製造元であるJA香川県さんに新年のご挨拶にいって参りました。ご承知のように「さぬきの夢」は、香川県農業試験場が開発した、さぬきうどん専用の小麦です。2000年には初代「さぬきの夢」である「さぬきの夢2000」が開発され、現在は2代目「さぬきの夢2009」に切り替わっています。「さぬきの夢2000」はうどんの「つなぎ力」の源となるグルテン量が少ないために、「打ち手を選ぶ小麦粉」と言われていましたが、「さぬきの夢2009」においては作業適性が向上しました。

「さぬきうどんは讃岐の小麦で打つ」という考えは実に自然な発想で、今から50年ほど前までは、実際そのような状況が続いていました。しかし昭和38年及び45年に、季節外れの長雨が続き小麦は大不作となり、小麦栽培は壊滅的な打撃を受けます。それ以来小麦農家は徐々に耕作意欲を失い、かつては10,000ha以上耕作されていたものが、昭和48年にはなんと326haにまで落ち込みます。そして香川県産小麦に取って代わったのが、オーストラリア産小麦(ASW)です。ASWはオーストラリア生まれですがうどん用に開発されているので、使い勝手が良くあっという間に讃岐のうどん業界を席巻します。

しかしその内に「さぬきうどんは香川県の小麦で打ちたい」という要望が高まり、その声に応え、香川県農業試験場は「香川県の香川県による香川県のためのうどん用小麦」の開発に着手します。そして関係者の努力が実り2000年に「さぬきの夢2000」が誕生しました。現在のところ「さぬきの夢」の使用量は、香川県におけるうどん用小麦の5~10%程度ですが、今後更にこの比率を高め、いつの日かASWを逆転できる日を夢見ています。

ところで今年も正月三が日は、白味噌仕立てのおつゆに餡餅雑煮が入った讃岐特有の餡餅雑煮をいただき、正月気分を満喫しました。尤も以前は毎朝2~3個ずつ消化していましたが、新陳代謝の劣化により今年は毎朝1個になりました。餡餅雑煮は、香川県全域に普及しているわけではなく、不思議なことにその普及地域はまだら模様です。興味ある方は#505をご覧ください。それでは今年もどうかよろしくお願い申し上げます。

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