#567 賞味期限の設定方法・・・小麦粉の賞味期限8ヶ月に設定
賞味期限とは、包装した加工食料品を指定された環境で保存した場合、製造者がその食品の風味や食味及び安全性を保証する期限のことを指します。つまり開封せずに適切に保存した場合、その品質の保証期限のことです。また生鮮食品のような概ね5日以内に品質の劣化が認められる食品については、「消費期限」として表示されます。小麦粉や乾麺はどちらも長期間保存できるので、賞味期限として表示されます。
実際の賞味期限の決め方については、雑菌の繁殖などを調べる「微生物検査」や実際の食味テストを行い評価する「官能検査」などがありますが、大抵は各企業が自主的に行う「官能検査」で決定することが多いようです。例えば「小麦粉の賞味期限を6ヶ月」と設定した場合は、6ヶ月間保存した小麦粉で、美味しいパンやうどんができればよいわけです。ただ実際には、もう少し余裕をもつために安全係数を設定し、決定します。例えば10ヶ月保存して問題なくても、安全係数=0.8を設定し、10×0.8=8ヶ月を賞味期限とする方法です(安全係数は1以下ですが、具体的な数値は各企業独自で決定します)。
【小麦粉賞味期限の変更:6ヶ月⇒8ヶ月】
従来、弊社小麦粉の賞味期限は製造後6ヶ月でしたが、今回2ヶ月延長し、8ヶ月に設定することにしました。延長することにした根拠は以下の官能テストの結果です。昨年(2016年)12月15日に2種類のパンの焼成試験を行いました(画像参照)。使用した小麦粉は、左は製粉直後の小麦粉、右は賞味期限が2016年4月なので、製造は6ヶ月遡ることの2015年10月。つまり製造後14ヶ月経過後の小麦粉を使用したことになります。
外見は若干ボリュームが小さいものの官能テストの結果は、食味、食感共に良好で問題ありませんでした。よって製粉後14ヶ月経過後の小麦粉を使用しても、保存状態さえよければ十分賞味に耐えるものと判断できます。そして念のために安全係数を0.8に設定し、14×0.8=11.2ヶ月つまり11ヶ月は大丈夫であろうとの結論に至りました。ただ長ければ長いほど良いという訳でもないので、とりあえず今回は賞味期限を2ヶ月延長し8ヶ月としました。
【賞味期限は長ければ長いほどよいのか?】
例えば賞味期限1年で設定された小麦粉があったとします。するとわざわざ1年近く保管しておいて、「そろそろ賞味期限が近づいてきたので使用しましょう」という方は、余りいないと思います。定期的に使用し、数ヶ月以内に使い切るのが一般的です。またいくらヘビーユーザであっても1年分をまとめて購入することもありません。よってこれは独断ではありますが、賞味期限は長ければ長いほど良いというものでもないと思います。
【賞味期限が切れても保管状態がよければ問題はない】
「消費期限」で表示される品質の劣化の早い食品はともかく、「賞味期限」で表示される一般の食品は、賞味期限が切れたからといって、直ちに使用できないわけではありません。保存状態さえよければ、かなり延長して使用可能です。実際今回の小麦粉も14ヶ月経過していましたが、問題はありませんでした。
賞味期限1年設定の乾麺も同様で、3年経過してもまったく問題ありませんでした(#290、#291)。また極端な例として、10年経過したものでも全く問題なかったという報告もあります(#238)。
飽食の時代を迎えた現在、日本では廃棄処分となる「食品ロス」が毎年623万t発生していると言われ、これは1人1日お茶碗1杯分(136g)に相当します。しかし資源には限りがあります。私たちは恵まれていますが、現在でも世界には約8億人が飢餓で苦しんでいます。できるだけ食品を無駄にすることなく、上手に使い切る努力が必要であると思います。