#591 さぬきうどん科に入学してよかったこと

f591「さぬきうどん科」は、「さぬきうどんに関する知識と技術の習得を目標」に、うどん県(香川県)が提供している「うどん職人育成プログラム」です。具体的には、香川県立高等技術学校の職業訓練課程において、1年に2回、それぞれ3ヶ月コースとして開講され、実際の研修等は、さぬき麺機㈱で行われています。定員は10名ですが、毎回希望者が定員を大幅に上回る人気コースとなっています。将来のうどん屋の大将や女将さんたちは、ここで3ヶ月間うどん漬けの生活を送り、うどん屋さんとしての基本を身につけます。

今期は第22期となり、昨日(2017.10.20)皆さんめでたく修了式を迎えました。いつも半分くらいは県外からの受講者ですが、今期は、北は青森県から南は鹿児島県までと、いつにも増して全国区的な構成となりました。授業内容は、単にうどんの打ち方だけではなく、出汁のとり方、醤油の話、小麦粉の話といったうどん関連の内容に加え、就職対策や経営シミュレーションといった一見うどんには関係なくとも、うどん店経営には必須の超実践的な科目もあります。

また授業科目の中には製粉工場見学もあります。うどんの原料の小麦粉がどうやって作られるのかを知ることは、重要なことです。弊社にもこれまで何度か工場見学に来られましたが(#057#442)、今期も、同様にやってこられました。そして見学後はうどん科の皆さんとの意見交換会があり、貴重かつ有意義な時間となりました。特に、「さぬきうどん科に入学して良かったこと」について尋ねると興味深い答をいただいたので、ここでご紹介します。

【うどん科22期生に聞きました・・・うどん科に入学して良かったこと】

①チャレンジ的製麺方法や様々な原材料をテストすることができる。
一旦うどん店を開業してしまうと、なかなか新しいことにはチャレンジできません。しかしさぬきうどん科でいる3ヶ月間は、何でも好きなことができます。例えば様々な小麦粉、異なる打ち方など自由に試すことができるので、これが有益だったようです。

②経営の勉強ができたこと
授業の中にはキャリアコンサルティングや財務経営シミュレーションといった経営に関する科目もあり、これで開業するまでの資金計画が立てることができます。また開業してからの人件費などの諸経費がどれだけかかり、そのためにはどれだけの売上が必要かといったことを理解します。一方、初期投資の大きさに、うどん店オープンの厳しい現実がわかったという声もありました。

③新しいうどん仲間に出会えたこと
さぬきうどん科で3ヶ月間を共有することで、新しいうどん仲間ができました。どんな学校でも同窓生は良いものです。一旦社会にでてしまうと、新しい純粋な人間関係というのはなかなか築きにくいだけに、貴重な学校生活でした。

④店舗実習
さぬきうどん科では週末を中心として、延14日間にわたる店舗実習があります。これは実際にさぬきの繁盛店で、実践的な活動を行うもので、本場のうどん店の雰囲気を経験することができます。

⑤製麺機による製麺
うどん科の基本は「手打ちうどん」ですが、製麺機実習もあります。「製麺機でも美味しいうどんができることに衝撃を受けた」といった感想は印象的でした。機械は同じ作業を繰り返すことが得意です。よって手打ちうどんの原理原則を理解していれば、製麺機械を適切に操作することで、美味しいうどんを作ることは可能です。

⑥その他
オープンキャンパスでは、実際に香川県立高等技術学校で、うどんの模擬店をオープンすることができて楽しかった。また栄養学を学べたことが有意義だったという意見もありました。